〇落ち着き戻り、ドル・ユーロ攻防〇
珍しく?ホワイトハウス関連のニュースが無かった。
要人発言は方向性や結論があるものではないが、各々政策論議に戻ることを示した。
共和党のライアン下院議長は「税制改革法案は(失敗した)オバマケア代替法案より議会通過は容易」と述べ、上院のマコネル院内総務は連邦債務上限引き上げ問題で「失敗する可能性はない」と述べた。
進展は見られなかったが、20日にNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉の初会合、22日に米韓FTA(自由貿易協定)見直しの初協議が行われた。
本格的には9月レイバーデ—明け後と見られる政策展開の前哨戦が活発化すれば、今回の不安心理沈静化に働こう。
21日から始まった米韓合同軍事演習を巡る北朝鮮緊張は、米政府が中国系企業6社、ロシア系1社、北朝鮮系1社、シンガポール拠点2社、個人6人の追加制裁指定を行ったが、目立った動きは無かった。
ジュネーブの軍縮会議では激しい応酬があったが、ティラーソン米国務長官は8月5日の国連安保理制裁決議以降の北朝鮮の自制を評価した。
ロシア高官が圧力でなく、対話を求める立場を表明、6ヵ国協議再開を模索する公算もある。
皮肉にも、米艦船事故(他にもオスプレイやハワイ沖のヘリコプター墜落事故)で、米軍が先制的に動く体制にないことも緊張を緩める要因と思われる。
15日から始まった中国の中朝貿易規制の影響(おそらくロシアがトンネルになっていると思われるが)を見極める局面にあると考えられる。
落ち着けば、ジャクソンホール会合の駆け引きに戻る。
為替はユーロ安ドル高で1ユーロ0.5%安の1.1749ドル。
2週間余ぶりの大幅ドル高。
ポジション調整の動きと解説されるが、実際はドル売り姿勢に一巡感が出て、ドル円は109円台後半(108円割れを凌いだ公算)。
ジャクソンホール会合で25日に講演するドラギECB総裁は、政策の手掛かりを示さないとの見方が一般的なっているが、ユーロ高の論者は9月か10月にECBが債券購入プログラム縮小(来年1月開始)を発表すると想定している。
ユーロの目標値は年末までに1.20ドル、来年央か秋に1.25ドルと言った予想が出ている。
ただ、22日のユーロ圏債券市場では、イタリア国債が売られた。
ドイツ国債との利回り格差は5週間ぶりの水準。
ベルルスコーニ元首相の並行通貨導入支持示唆(反ユーロ感情)との先週末の報道が尾を引いているとされ、政治リスクが潜在する。
金融政策だけでは決められないと思われる。
イエレンFRB議長の発言も注目されるが、表面上は玉虫色の姿勢と思われる。
むしろ、来年2月の任期満了に対し、少しでも続投意欲を見せるかどうかが関心事と考えられる(その可能性があれば市場の安心材料となる)。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/8/23号)
珍しく?ホワイトハウス関連のニュースが無かった。
要人発言は方向性や結論があるものではないが、各々政策論議に戻ることを示した。
共和党のライアン下院議長は「税制改革法案は(失敗した)オバマケア代替法案より議会通過は容易」と述べ、上院のマコネル院内総務は連邦債務上限引き上げ問題で「失敗する可能性はない」と述べた。
進展は見られなかったが、20日にNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉の初会合、22日に米韓FTA(自由貿易協定)見直しの初協議が行われた。
本格的には9月レイバーデ—明け後と見られる政策展開の前哨戦が活発化すれば、今回の不安心理沈静化に働こう。
21日から始まった米韓合同軍事演習を巡る北朝鮮緊張は、米政府が中国系企業6社、ロシア系1社、北朝鮮系1社、シンガポール拠点2社、個人6人の追加制裁指定を行ったが、目立った動きは無かった。
ジュネーブの軍縮会議では激しい応酬があったが、ティラーソン米国務長官は8月5日の国連安保理制裁決議以降の北朝鮮の自制を評価した。
ロシア高官が圧力でなく、対話を求める立場を表明、6ヵ国協議再開を模索する公算もある。
皮肉にも、米艦船事故(他にもオスプレイやハワイ沖のヘリコプター墜落事故)で、米軍が先制的に動く体制にないことも緊張を緩める要因と思われる。
15日から始まった中国の中朝貿易規制の影響(おそらくロシアがトンネルになっていると思われるが)を見極める局面にあると考えられる。
落ち着けば、ジャクソンホール会合の駆け引きに戻る。
為替はユーロ安ドル高で1ユーロ0.5%安の1.1749ドル。
2週間余ぶりの大幅ドル高。
ポジション調整の動きと解説されるが、実際はドル売り姿勢に一巡感が出て、ドル円は109円台後半(108円割れを凌いだ公算)。
ジャクソンホール会合で25日に講演するドラギECB総裁は、政策の手掛かりを示さないとの見方が一般的なっているが、ユーロ高の論者は9月か10月にECBが債券購入プログラム縮小(来年1月開始)を発表すると想定している。
ユーロの目標値は年末までに1.20ドル、来年央か秋に1.25ドルと言った予想が出ている。
ただ、22日のユーロ圏債券市場では、イタリア国債が売られた。
ドイツ国債との利回り格差は5週間ぶりの水準。
ベルルスコーニ元首相の並行通貨導入支持示唆(反ユーロ感情)との先週末の報道が尾を引いているとされ、政治リスクが潜在する。
金融政策だけでは決められないと思われる。
イエレンFRB議長の発言も注目されるが、表面上は玉虫色の姿勢と思われる。
むしろ、来年2月の任期満了に対し、少しでも続投意欲を見せるかどうかが関心事と考えられる(その可能性があれば市場の安心材料となる)。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/8/23号)