[日本インタビュ新聞社] - (決算速報)
アステナホールディングス<8095>(東証プライム)は4月13日の取引時間終了後に23年11月期第1四半期連結業績を発表した。医薬品原料の好調などで増収だが、エネルギーコスト高騰などの影響をカバーしきれず各利益は赤字だった。そして通期の減益予想を据え置いた。原材料価格などの不透明感を考慮している。ただし中期経営計画(ローリング方式)では25年11月期の目標値を大幅増収増益の計画としている。積極的な事業展開で中期成長を期待したい。株価は下値固め完了して安値圏でのモミ合いから上放れの動きを強めている。目先的には第1四半期業績を嫌気する可能性もあるが、通期の減益予想は織り込み済みだろう。高配当利回りや低PBRも評価して出直りを期待したい。
■23年11月期1Q赤字、通期減益予想据え置き
23年11月期第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比4.1%増の127億85百万円、営業利益が92百万円の損失(前年同期は6億30百万円の利益)、経常利益が63百万円の損失(同6億59百万円の利益)、親会社株主帰属四半期純利益が2億06百万円の損失(同4億49百万円の利益)だった。
ファインケミカル事業における医薬品原料の好調、医薬事業における新製品の市場シェア拡大などで増収だが、エネルギーコストの高騰、一部の事業会社における経営改善の取り組み遅れなどの影響をカバーしきれず各利益は赤味だった。
ファインケミカル事業は売上高(外部顧客への売上高)が3.1%減の36億45百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が56百万円の損失(同5億20百万円の利益)だった。医薬品原料分野は好調だったが、医薬品CDMO分野において前期発生した経営改善の遅れの影響で売上回復が緩やかだった。
HBC・食品事業は売上高が18.8%増の42億18百万円で、営業利益が40百万円の損失(同95百万円の損失)だった。大幅増収効果で赤字縮小した。化粧品および食品原料部門では新規顧客開拓に加えて、マルマンH&Bの自社企画健康食品や輸入化粧品の販売が好調だった。ファルマネット部門では一般医薬品卸売の事業撤退を進める一方で、化粧品輸入代行などを展開するアインズラボを子会社化した。
医薬事業は売上高が5.8%増の29億06百万円で、営業利益が53.2%減の72百万円だった。医療用医薬品部門におけるルリコナゾール軟膏・クリームの発売で当初目標としていた市場シェアを獲得したが、原材料や用役費の高騰の影響で減益だった。なお岩城製薬佐倉工場では、高活性注射液棟の改修を行っており、23年秋の稼働に向けて準備を進めている。
化学品事業は売上高が9.6%減の20億13百万円で、営業利益が1億04百万円の損失(同40百万円の利益)だった。減収減益だった。表面処理設備分野は堅調だが、表面処理薬品分野が対象市場の低迷や原材料・用役費高騰の影響を受けた。
その他事業(人材事業、ふるさと納税事業などの新規事業)は、売上高が1百万円で営業利益が23百万円の損失だった。
通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年11月期比3.8%増の515億円、営業利益が12.2%減の7億20百万円、経常利益が53.8%減の4億10百万円、親会社株主帰属当期純利益が98.3%減の10百万円としている。配当予想は22年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。
原材料価格などの不透明感を考慮して減益予想としている。なお新規事業として有機米事業および森林事業を開始する。また4月7日には、岩城製薬が帝人ファーマから「ボンアルファ」の日本における製造販売承認を承継(23年7月1日より)すると発表している。さらに岩城製薬がキノファーマと共同開発した製剤を用いて、ヒトパピローマウイルス感染症である尋常性疣贅を適応症として第2相臨床試験(キノファーマが実施)を開始すると発表している。
23年11月期は減益予想だが、中期経営計画(ローリング方式)では25年11月期の目標値を大幅増収増益の計画(売上高593億円、営業利益22億円、ROE5.6%)としている。積極的な事業展開で中期成長を期待したい。
■株価はモミ合いから上放れの動き
株価は下値固め完了して安値圏でのモミ合いから上放れの動きを強めている。目先的には第1四半期業績を嫌気する可能性もあるが、通期の減益予想は織り込み済みだろう。高配当利回りや低PBRも評価して出直りを期待したい。4月13日の終値は444円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS25銭で算出)は約1776倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約4.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS685円24銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約182億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)