■テラ (T:2191)の今後の事業戦略
3. 医師主導治験の進捗状況と資金調達について
「WT1ペプチド」を用いた樹状細胞ワクチン(TLP0-001)の薬事承認に向けた医師主導治験に関しては、おおむね順調に進んでいる。
同治験は標準療法で効果がない進行膵臓がんを対象とし、和歌山県立医科大学附属病院の山上裕機(やまうえひろき)教授が中心となって進めている。
治験は二重盲検試験で、被験者を樹状細胞ワクチンと抗がん剤の併用療法を受ける群、及びプラセボと抗がん剤の併用療法を受ける群に分けて、全185症例実施する。
主要評価項目は全生存期間となり、プラセボ群と比較して生存期間に統計的有意差が認められることを検証する。
治験用の樹状細胞ワクチンは、テラファーマが整備した治験製品製造施設(川崎市殿町ライフイノベーションセンター内「殿町細胞プロセッシングセンター」)で培養し提供している。
和歌山県立医科大学附属病院では2017年5月から第1例目の被験者登録を開始、2019年以降、第2/3相試験を複数の医療施設で進めていく予定となっている。
当初は2018年後半に第2/3相に移行できると見ていたが、やや遅れたようだ。
ただ、現段階で重篤な副作用等が発生したとの報告はなく、治験は順調に進んでいるものと見られる。
このため、2022年までに再生医療等製品の製造販売承認申請を目指していくという当初のスケジュールに変更はない。
喫緊の課題は治験費用の調達となる。
同社では、治験開始から承認取得までに要する費用として約38億円を見込んでおり、このうち約16億円は新株予約権の行使や第三者割当増資によって調達済みで、残り約22億円が必要となる。
同社では新たなエクイティ・ファイナンスの実行による資金調達のほか、企業とのアライアンス締結による開発協力金あるいは資本増強による資金獲得によって充当していく予定にしており、現在、その実現に向け注力している状況にある。
膵臓がんの年間の罹患患者数は34,700人で、このうち2次化学療法に進む患者は半数の約17,000人となる。
さらに、血液検査等によって樹状細胞ワクチン療法が適用可能な膵臓がん患者を見積もると、保守的に見ても年間約5,000人の患者が対象になるとテラファーマでは推計している。
薬価の水準がどの程度で決まるかにもよるが、薬事承認を受けて保険収載されれば売上規模は現在の水準(年間症例数で400例ペース)から大きく拡大することが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
3. 医師主導治験の進捗状況と資金調達について
「WT1ペプチド」を用いた樹状細胞ワクチン(TLP0-001)の薬事承認に向けた医師主導治験に関しては、おおむね順調に進んでいる。
同治験は標準療法で効果がない進行膵臓がんを対象とし、和歌山県立医科大学附属病院の山上裕機(やまうえひろき)教授が中心となって進めている。
治験は二重盲検試験で、被験者を樹状細胞ワクチンと抗がん剤の併用療法を受ける群、及びプラセボと抗がん剤の併用療法を受ける群に分けて、全185症例実施する。
主要評価項目は全生存期間となり、プラセボ群と比較して生存期間に統計的有意差が認められることを検証する。
治験用の樹状細胞ワクチンは、テラファーマが整備した治験製品製造施設(川崎市殿町ライフイノベーションセンター内「殿町細胞プロセッシングセンター」)で培養し提供している。
和歌山県立医科大学附属病院では2017年5月から第1例目の被験者登録を開始、2019年以降、第2/3相試験を複数の医療施設で進めていく予定となっている。
当初は2018年後半に第2/3相に移行できると見ていたが、やや遅れたようだ。
ただ、現段階で重篤な副作用等が発生したとの報告はなく、治験は順調に進んでいるものと見られる。
このため、2022年までに再生医療等製品の製造販売承認申請を目指していくという当初のスケジュールに変更はない。
喫緊の課題は治験費用の調達となる。
同社では、治験開始から承認取得までに要する費用として約38億円を見込んでおり、このうち約16億円は新株予約権の行使や第三者割当増資によって調達済みで、残り約22億円が必要となる。
同社では新たなエクイティ・ファイナンスの実行による資金調達のほか、企業とのアライアンス締結による開発協力金あるいは資本増強による資金獲得によって充当していく予定にしており、現在、その実現に向け注力している状況にある。
膵臓がんの年間の罹患患者数は34,700人で、このうち2次化学療法に進む患者は半数の約17,000人となる。
さらに、血液検査等によって樹状細胞ワクチン療法が適用可能な膵臓がん患者を見積もると、保守的に見ても年間約5,000人の患者が対象になるとテラファーマでは推計している。
薬価の水準がどの程度で決まるかにもよるが、薬事承認を受けて保険収載されれば売上規模は現在の水準(年間症例数で400例ペース)から大きく拡大することが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)