14日の欧米外為市場で、ドル・円は上げ渋る展開を予想する。
米中協議への悲観的な見通しがいったん和らぎ欧米株高に振れれば、前日までの円買いはある程度巻き戻されるだろう。
ただ、先行きの不透明感は続くとみられ、ドルの上昇は限定的となりそうだ。
米国による10日の対中制裁関税引き上げを受け、中国側は米国に対する報復関税に踏み切り、前日の取引ではリスク回避的な円買いが主導する展開となった。
ドル・円はクロス円にけん引され急落し、一時109円02銭まで弱含んだ。
ただ、NY終値は109円30銭に戻すなど、引き続き下値の堅さが観測される。
本日のアジア市場で日経平均株価が節目の2万1000円を割り込んだ場面でも、ドル・円は109円台を維持した。
その後、トランプ米大統領は自身のツイッターで「中国との協議は成功すると思う。
3-4週間後にわかる」との見解を表明すると、欧米株式先物は上昇に転じ、今晩の株高を見んだ動きが強まった。
前日までのリスク回避的な円買いは巻き戻されクロス円が上昇し、ドル・円は109円70銭台まで切り返す場面もあった。
この後の欧米市場でも、引き続き米中貿易摩擦が主要テーマとなろう。
トランプ大統領は楽観的な見方を示しているが、13日には第4弾の対中制裁関税の詳細案を発表するなど、不透明感は否めない。
そのため、両国の対立が激化すれば世界経済は減速に傾くとの懸念で、円買いは根強いだろう。
前日600ドル超も下げたNYダウなどが今晩の取引で持ち直せばドル買いに振れる可能性もあるが、円買い圧力がドルの上昇を阻止する見通し。
(吉池 威)【今日の欧米市場の予定】・17:30 英・1-3月ILO失業率(予想:3.9%、12-2月:3.9%)・18:00 独・5月ZEW景気期待指数(予想:5.0、4月:3.1)・18:00 ユーロ圏・3月鉱工業生産(前月比予想:-0.3%、2月:-0.2%)・18:30 南ア・1-3月期失業率(予想:27.5%、10-12月期:27.1%)・21:30 米・4月輸入物価指数(前月比予想:+0.7%、3月:+0.6%)・01:45 ジョージ米カンザスシティー連銀総裁講演(ミネソタ経済クラブ)・07:00 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁講演(米ノースウェスタン大学)