*15:41JST RSテクノ Research Memo(1):2023年12月期業績は計画をやや上振れ見込み
■要約
RS Technologies (TYO:3445)は半導体の主要部材であるシリコンウェーハの再生加工事業で世界シェア約33%(同社推計)とトップに立つ。
また、2018年に中国でプライムウェーハ製造販売事業を手掛ける有研半導体硅材料有限公司(以下、GRITEK)を子会社化したほか、2019年には半導体製造装置用消耗部材事業を手掛ける(株)DG Technologiesを子会社化するなど、M&Aにより事業領域を拡大しながら成長を続けている。
なお、GRITEKは2022年11月に上海証券取引所科創板市場に上場したが(同社の出資比率は間接所有分を含めて40%強)、今後も連結対象子会社として維持する方針だ。
1. 2023年12月期第3四半期累計業績は上回るペース
2023年12月期第3四半期累計(2023年1月~9月)の連結業績は、売上高で前年同期比4.9%増の39,470百万円、経常利益で同2.1%減の12,017百万円となった。
プライムシリコンウェーハ製造販売事業(以下、プライムウェーハ事業)が半導体市場の環境変化により減収減益となったものの、ウェーハ再生事業が能力増強効果もあって2ケタ増収増益と好調を持続したほか、半導体関連装置・部材等事業もレーザーダイオードが海外における新規顧客開拓により伸長した。
通期計画に対する進捗率は売上高で77.7%、経常利益で84.0%と会社計画をやや上回る進捗となった。
2. 2023年12月期も売上高、営業利益で過去最高を更新する見通し
2023年12月期の連結業績は売上高で前期比1.8%増の50,800百万円、営業利益で同0.6%増の13,100百万円と期初計画を据え置いた。
半導体市場の調整局面が続いているものの、第4四半期も再生ウェーハの需要は堅調でフル稼働が続いているほか、プライムウェーハも中国市場での販売シェア拡大により堅調推移が見込まれており、売上高、経常利益ともに計画をやや上回るものと弊社では見ている。
3. バナジウムレドックスフロー電池用電解液市場に新規参入
同社は今後、急成長が見込まれる定置式大型蓄電池市場において、有望な蓄電方式として注目されているバナジウムレドックスフロー電池(以下、VRFB)の電解液市場に参入すべく、(株)LEシステムを2023年10月に新設した。
1970年代以降、国家プロジェクトとして技術開発に取組んできた旧 LEシステム(株)の事業を承継して展開する。
2021年9月に年間5千立方メートル(売上換算で約30億円)の工場を竣工、2023年から受注を開始した。
将来的には最大市場である中国への進出も視野に入れており、既に現地蓄電池メーカーにサンプル出荷を開始したもようだ。
VRFBは安全性に優れる一方でバナジウム電解液の製造コスト高が課題であったが、LEシステムでは低コストが可能となる製造技術を確立している。
市場調査会社の予測によれば、VRFB用電解液の市場規模は2022年の9万立方メートルから2028年には120万立方メートルに急成長する見通しで、同社は今後トップメーカーを目指す。
■Key Points
・堅調な顧客需要により、2023年12月期第3四半期累計業績は順調に推移
・半導体市場の調整が長引くも2023年12月期業績は会社計画をやや上回る見通し
・米中貿易摩擦による影響はほとんどなく、ウェーハ再生事業、プライムウェーハ事業を両輪に成長が続く見通し
・脱炭素化社会の実現に向け急成長が期待されるVRFB用電解液事業に新規参入、数百億円規模の事業に育つ可能性
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
RS Technologies (TYO:3445)は半導体の主要部材であるシリコンウェーハの再生加工事業で世界シェア約33%(同社推計)とトップに立つ。
また、2018年に中国でプライムウェーハ製造販売事業を手掛ける有研半導体硅材料有限公司(以下、GRITEK)を子会社化したほか、2019年には半導体製造装置用消耗部材事業を手掛ける(株)DG Technologiesを子会社化するなど、M&Aにより事業領域を拡大しながら成長を続けている。
なお、GRITEKは2022年11月に上海証券取引所科創板市場に上場したが(同社の出資比率は間接所有分を含めて40%強)、今後も連結対象子会社として維持する方針だ。
1. 2023年12月期第3四半期累計業績は上回るペース
2023年12月期第3四半期累計(2023年1月~9月)の連結業績は、売上高で前年同期比4.9%増の39,470百万円、経常利益で同2.1%減の12,017百万円となった。
プライムシリコンウェーハ製造販売事業(以下、プライムウェーハ事業)が半導体市場の環境変化により減収減益となったものの、ウェーハ再生事業が能力増強効果もあって2ケタ増収増益と好調を持続したほか、半導体関連装置・部材等事業もレーザーダイオードが海外における新規顧客開拓により伸長した。
通期計画に対する進捗率は売上高で77.7%、経常利益で84.0%と会社計画をやや上回る進捗となった。
2. 2023年12月期も売上高、営業利益で過去最高を更新する見通し
2023年12月期の連結業績は売上高で前期比1.8%増の50,800百万円、営業利益で同0.6%増の13,100百万円と期初計画を据え置いた。
半導体市場の調整局面が続いているものの、第4四半期も再生ウェーハの需要は堅調でフル稼働が続いているほか、プライムウェーハも中国市場での販売シェア拡大により堅調推移が見込まれており、売上高、経常利益ともに計画をやや上回るものと弊社では見ている。
3. バナジウムレドックスフロー電池用電解液市場に新規参入
同社は今後、急成長が見込まれる定置式大型蓄電池市場において、有望な蓄電方式として注目されているバナジウムレドックスフロー電池(以下、VRFB)の電解液市場に参入すべく、(株)LEシステムを2023年10月に新設した。
1970年代以降、国家プロジェクトとして技術開発に取組んできた旧 LEシステム(株)の事業を承継して展開する。
2021年9月に年間5千立方メートル(売上換算で約30億円)の工場を竣工、2023年から受注を開始した。
将来的には最大市場である中国への進出も視野に入れており、既に現地蓄電池メーカーにサンプル出荷を開始したもようだ。
VRFBは安全性に優れる一方でバナジウム電解液の製造コスト高が課題であったが、LEシステムでは低コストが可能となる製造技術を確立している。
市場調査会社の予測によれば、VRFB用電解液の市場規模は2022年の9万立方メートルから2028年には120万立方メートルに急成長する見通しで、同社は今後トップメーカーを目指す。
■Key Points
・堅調な顧客需要により、2023年12月期第3四半期累計業績は順調に推移
・半導体市場の調整が長引くも2023年12月期業績は会社計画をやや上回る見通し
・米中貿易摩擦による影響はほとんどなく、ウェーハ再生事業、プライムウェーハ事業を両輪に成長が続く見通し
・脱炭素化社会の実現に向け急成長が期待されるVRFB用電解液事業に新規参入、数百億円規模の事業に育つ可能性
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)