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日本電技 Research Memo(1):中期経営計画の目標に向けて進捗は順調

発行済 2022-12-09 15:01
更新済 2022-12-09 15:15
© Reuters.
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■要約

1. 「計装エンジニアリング」技術をベースに空調計装と産業システムを展開
日本電技 (TYO:1723)は「計装エンジニアリング」専業企業である。
計装(Instrumentation)とは、ビルや工場において、空調や生産ラインなどの各種設備・機械装置を、計測・監視・制御といった手法によって有機的にコントロールすることである。
同社は、オフィスビルやホテルなど非居住用建築物を対象に、空調設備を自動制御する空調計装関連事業を展開、自動制御機器大手であるアズビル (TYO:6845)の最大手特約店として、また業界の草分け的な存在として、豊富な経験と技術を誇っている。
産業システム関連事業では、工場の生産ラインや搬送ラインの設計からシステム開発、施工、ロボットの導入・運用、メンテナンスまでをトータルで手掛け、スマートファクトリー化(デジタル技術を活用した工場・ライン全体の自動化・省エネ化)を支援するサービスを提供している。


2. 計装技術とエンジニアリング技術を併せ持つ「計装エンジニアリング」に強み
同社の強みは、計装技術とエンジニアリング技術を併せ持つところにある。
空調計装関連事業では、首都圏再開発向けなど新規工事の受注が積み上がっている。
これは、アズビルの新商品を扱うには、取り扱い販売店のなかでも同社しか持っていないエンジニアリング技術が必要となるためである。
なお、築年数の経過とともにビル改修のニーズが高まっていることも、同社にとって好材料と言える。
産業システム関連事業では「計装エンジニアリング」の強みがより発揮されている。
というのも、工場のスマートファクトリー化を実現するためには、生産プロセス(生産工程)や搬送ラインにおいて、計測機器やロボットなどをセットアップし、有機的につないで自動制御するシステムが必要で、それには同社の「計装エンジニアリング」技術が最適だからだ。


3. 2023年3月期下期に大型案件が完工の見通し、通期予想は確保
2023年3月期第2四半期の業績は、受注工事高23,778百万円(前年同期比25.7%増)、売上高11,562百万円(同5.2%減)、営業利益609百万円(同34.2%減)となった。
受注工事高は首都圏再開発などが順調に積み上がったが、売上高は前年同期に完工した大型物件の反動により減収となった。
加えて、相対的に採算の低い大型工事が多くなったため営業減益となった。
一方、2023年3月期業績見通しについては、受注工事高32,500百万円(前期比4.5%減)、売上高33,500百万円(同5.8%増)、営業利益4,100百万円(同0.6%増)とする期初計画を据え置いている。
通期予想に対する進捗が鈍いものの、同社は第4四半期に売上高が多くなる季節的変動があり、下期に大型物件の完工が予定されていること、産業システム関連事業が順調に拡大していることから、通期予想は達成可能と思われる。


4. 2024年3月期に営業利益45億円を目指す「第1フェーズ」は順調に進捗
社会構造の変化やデジタル化の加速による経営環境の変化に対応するため、同社は長期経営指針「ND For The Next 2030」を策定した。
「計装エンジニアリング」の総合力に加え、サステナビリティを巡る課題を解決することでさらなる持続的成長を図り、2031年3月期には売上高450億円、営業利益60億円を目指す。
現在は、2031年3月期に向けて成長基盤を構築する「第1フェーズ(2021年~2023年度)」にあり、「既存事業の強化」「拡大戦略の実行」「ND企業文化の成長」を推進することで成長基盤の構築・強化に取り組んでおり、順調に進捗していると言える。
なお、2024年3月期に受注高350億円、売上高340億円、営業利益45億円、ROE10%以上を目指している。
また、長期経営指針実現に向けて資本効率性の向上と株主還元策の充実が重要と判断、配当方針を変更した。


■Key Points
・2023年3月期第2四半期の進捗は鈍いものの、下期に大型案件が完工の見通しであることから、通期予想は確保
・空調計装関連事業は踊り場から回復へ、成長が期待される産業システムは積極的に事業展開
・長期経営指針の「第1フェーズ」では2024年3月期営業利益45億円を目指しており、順調に推移

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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