■中長期の成長戦略
EMシステムズ (T:4820)は医療介護業界の動向を見すえ、永続する企業を目指し、2018年5月に新中期経営計画を発表した。
2025年問題や超高齢社会を踏まえ、同社の主要販売先である薬局に対する調剤報酬改定の中身を詳しく見ると、大手薬局チェーンには厳しい内容となっている。
加えて今後は、薬価引き下げの影響が徐々に出てくることが想定されるなど、国の財政から医療費全体の抑制に向けた動きが加速する見通しである。
このため、同社の顧客の業界においては、引き続き厳しい状況が続くと見込まれ、医療・介護業界の再編が加速することも予想される。
また、さらに政府は、医療等分野におけるICT化の徹底的な推進を行う方針を示しており、介護を含めた他職種での情報連携に対するニーズが今まで以上に高まることが予想される。
これらが2025年に向けて待ったなしの状況であること、そして業績好調で企業体力があることを踏まえ、ビジネスモデルの変更という大きな改革を含めた、新中期経営計画を発表した。
基本戦略としては、医療介護情報連携の実現、先進テクノロジーを活用した高付加価値製品の提供、操作の簡素化・自動化とシステム費用の大幅削減といった3本を柱としている。
2019年3月期中に、これまでの初期料金+課金型の一部ストック型ビジネスを完全ストック型のビジネスに切り替えるというビジネスモデルの変更を行う。
システム導入の費用が格段に低下し、初期投資+5年間ランニングコストで計算すると、従来比で半減するため、顧客には大きなコストメリットが発生する。
加えて、NECとの協業により、患者との問診におけるAI技術の活用、処方箋の解析に用いる画像解析技術の組込みや、医療・介護の情報連携の推進など製品サービスの差別化を図り、機能面でも大きなメリットを受けることが可能になる。
これらにより、顧客数の拡大を図り、2023年3月までに、医科システムは10,000件(シェア10%)、調剤システムは25,000件(シェア50%)、介護システムは10,000件(シェア5%)の確保を図る。
なお、同社は2018年11月に、医療・調剤・介護の垣根を超えた業界初の「共通情報システム基盤」である「MAPsシリーズ」の発売を発表した。
従来バラバラに開発されていたこの3つのシステムを一体化することで、医療・調剤・介護従事者間での連携を可能にする。
また、これは同社のシェア拡大だけを図っているわけでなく、医療介護業界で共通的に必要となる計算ロジックを持つ共通エンジンを他社にも供給するなど、自社だけでなく業界全体の低コスト化、品質向上を図る。
これらにより利用者を増やし、同社のシステムが医療・介護業界におけるデファクト・スタンダードとなり、技術面・価格面などにより業界のリーダーシップを取っていく考えである。
同システムの展開については、まずは2019年1月に医科アプリをリリースし、2020年3月期に調剤アプリ、介護アプリをリリースする計画である。
まずは、医科を押さえ、関連する調剤・介護への影響度を広げるというのが同社の戦略である。
このため、ブランディングを固め、医科業界での認知度を向上させることが、同社の課題と言える。
この、ビジネスモデル切り替えの過程で一時的に業績が低下するが、ユーザー数の増加に伴う課金売上の増加で、2021年3月期には2018年3月期比増収、2022年3月期には営業利益が2018年3月期比増益となる計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山崇行)
EMシステムズ (T:4820)は医療介護業界の動向を見すえ、永続する企業を目指し、2018年5月に新中期経営計画を発表した。
2025年問題や超高齢社会を踏まえ、同社の主要販売先である薬局に対する調剤報酬改定の中身を詳しく見ると、大手薬局チェーンには厳しい内容となっている。
加えて今後は、薬価引き下げの影響が徐々に出てくることが想定されるなど、国の財政から医療費全体の抑制に向けた動きが加速する見通しである。
このため、同社の顧客の業界においては、引き続き厳しい状況が続くと見込まれ、医療・介護業界の再編が加速することも予想される。
また、さらに政府は、医療等分野におけるICT化の徹底的な推進を行う方針を示しており、介護を含めた他職種での情報連携に対するニーズが今まで以上に高まることが予想される。
これらが2025年に向けて待ったなしの状況であること、そして業績好調で企業体力があることを踏まえ、ビジネスモデルの変更という大きな改革を含めた、新中期経営計画を発表した。
基本戦略としては、医療介護情報連携の実現、先進テクノロジーを活用した高付加価値製品の提供、操作の簡素化・自動化とシステム費用の大幅削減といった3本を柱としている。
2019年3月期中に、これまでの初期料金+課金型の一部ストック型ビジネスを完全ストック型のビジネスに切り替えるというビジネスモデルの変更を行う。
システム導入の費用が格段に低下し、初期投資+5年間ランニングコストで計算すると、従来比で半減するため、顧客には大きなコストメリットが発生する。
加えて、NECとの協業により、患者との問診におけるAI技術の活用、処方箋の解析に用いる画像解析技術の組込みや、医療・介護の情報連携の推進など製品サービスの差別化を図り、機能面でも大きなメリットを受けることが可能になる。
これらにより、顧客数の拡大を図り、2023年3月までに、医科システムは10,000件(シェア10%)、調剤システムは25,000件(シェア50%)、介護システムは10,000件(シェア5%)の確保を図る。
なお、同社は2018年11月に、医療・調剤・介護の垣根を超えた業界初の「共通情報システム基盤」である「MAPsシリーズ」の発売を発表した。
従来バラバラに開発されていたこの3つのシステムを一体化することで、医療・調剤・介護従事者間での連携を可能にする。
また、これは同社のシェア拡大だけを図っているわけでなく、医療介護業界で共通的に必要となる計算ロジックを持つ共通エンジンを他社にも供給するなど、自社だけでなく業界全体の低コスト化、品質向上を図る。
これらにより利用者を増やし、同社のシステムが医療・介護業界におけるデファクト・スタンダードとなり、技術面・価格面などにより業界のリーダーシップを取っていく考えである。
同システムの展開については、まずは2019年1月に医科アプリをリリースし、2020年3月期に調剤アプリ、介護アプリをリリースする計画である。
まずは、医科を押さえ、関連する調剤・介護への影響度を広げるというのが同社の戦略である。
このため、ブランディングを固め、医科業界での認知度を向上させることが、同社の課題と言える。
この、ビジネスモデル切り替えの過程で一時的に業績が低下するが、ユーザー数の増加に伴う課金売上の増加で、2021年3月期には2018年3月期比増収、2022年3月期には営業利益が2018年3月期比増益となる計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山崇行)