■決算動向
(3) 2016年3月期決算の概要
芙蓉総合リース (T:8424)の2016年3月期の業績は、売上高が前期比4.5%増の4,937億円、営業利益が同0.4%減の244億円、経常利益が同10.2%増の291億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同23.0%増の174億円となった。
営業利益が一過性の特殊要因によりわずかに減益となったものの、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は2期連続で増加しており、実質的には増収増益基調を継続しているものと評価するのが妥当だろう。
契約実行高が前期比5.8%増の7,035億円に増加し、営業資産残高も前期末比7.9%増の1兆8,634億円に大幅に拡大したことが増収に寄与した。
特に、主力のリース営業資産が、同社の得意とする建物等(不動産リース)や産業工作機械により大きく伸びている。
損益面では、営業資産残高の拡大やリース資産の粗利率の改善等により「差引利益」が増加したものの、一過性の要因により退職給付費用が増加(前期比19億円増)したことで営業減益となった。
ただ、本業の収益力を示す「経常利益」は、貸倒関連費用の戻入超過(戻入益の計上)※1により大きく増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も過去最高値を更新している。
なお、退職給付費用の増加は、長期金利低下に伴う年金資産の運用実績の悪化や割引率の見直しによるものである※2。
したがって、実態を見れば、「貸倒関連費用」は良好な水準で推移するとともに「人件費及び物件費」も一過性の退職給付費用を除くとほぼ一定の水準を維持しており、コストコントロールは引き続き機能していると言える。
※1前期以前に引当処理を行った貸倒引当金額(回収不能見積額)が、実際に発生した回収不能額より。
大きかった際に計上される利益のこと。
貸倒関連費用の減少として見ることができる。
※2同社では運用実績の悪化や割引率の見直し等による差異を保守的に一括償却している。
財務面では、営業資産の拡大により総資産が前期末比6.3%増の2兆1,133億円に増加した一方、自己資本は内部留保の積み上げにより同4.1%増にとどまったことから自己資本比率は9.8%(前期末は10.1%)に若干低下した。
一方、有利子負債は、営業資産残高の拡大に伴って同9.9%増の1兆6,801億円に増加したが、長短比率は53.4%(前期は42.3%)に上昇するとともに、調達利回りも0.45%(前期は0.47%)に低下していることから、財務面でも健全性が維持されていると言える。
また、資産(資本)効率を示すROAは1.4%を維持するとともに、ROEは8.6%(前期は7.4%)に改善している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
(3) 2016年3月期決算の概要
芙蓉総合リース (T:8424)の2016年3月期の業績は、売上高が前期比4.5%増の4,937億円、営業利益が同0.4%減の244億円、経常利益が同10.2%増の291億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同23.0%増の174億円となった。
営業利益が一過性の特殊要因によりわずかに減益となったものの、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は2期連続で増加しており、実質的には増収増益基調を継続しているものと評価するのが妥当だろう。
契約実行高が前期比5.8%増の7,035億円に増加し、営業資産残高も前期末比7.9%増の1兆8,634億円に大幅に拡大したことが増収に寄与した。
特に、主力のリース営業資産が、同社の得意とする建物等(不動産リース)や産業工作機械により大きく伸びている。
損益面では、営業資産残高の拡大やリース資産の粗利率の改善等により「差引利益」が増加したものの、一過性の要因により退職給付費用が増加(前期比19億円増)したことで営業減益となった。
ただ、本業の収益力を示す「経常利益」は、貸倒関連費用の戻入超過(戻入益の計上)※1により大きく増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も過去最高値を更新している。
なお、退職給付費用の増加は、長期金利低下に伴う年金資産の運用実績の悪化や割引率の見直しによるものである※2。
したがって、実態を見れば、「貸倒関連費用」は良好な水準で推移するとともに「人件費及び物件費」も一過性の退職給付費用を除くとほぼ一定の水準を維持しており、コストコントロールは引き続き機能していると言える。
※1前期以前に引当処理を行った貸倒引当金額(回収不能見積額)が、実際に発生した回収不能額より。
大きかった際に計上される利益のこと。
貸倒関連費用の減少として見ることができる。
※2同社では運用実績の悪化や割引率の見直し等による差異を保守的に一括償却している。
財務面では、営業資産の拡大により総資産が前期末比6.3%増の2兆1,133億円に増加した一方、自己資本は内部留保の積み上げにより同4.1%増にとどまったことから自己資本比率は9.8%(前期末は10.1%)に若干低下した。
一方、有利子負債は、営業資産残高の拡大に伴って同9.9%増の1兆6,801億円に増加したが、長短比率は53.4%(前期は42.3%)に上昇するとともに、調達利回りも0.45%(前期は0.47%)に低下していることから、財務面でも健全性が維持されていると言える。
また、資産(資本)効率を示すROAは1.4%を維持するとともに、ROEは8.6%(前期は7.4%)に改善している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)