8日の欧米外為市場では、ドル・円は軟調な展開を予想する。
中国の2月輸出の大幅減少を受けて、世界的な景気減速懸念が一段と広がり、リスク回避的な円買いが続くとみられる。
今晩発表の米雇用統計は失業率や賃金で改善が予想されるものの、想定内であればドル買いは限定的になりそうだ。
欧州中央銀行(ECB)は前日開催した理事会で、ユーロ圏経済の景気減速を受け成長見通しを大幅に引き下げたほか、今年後半としていた利上げ時期の来年以降への先延ばしを決定。
また、条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)も再開するなど、一段のハト派姿勢を強めた。
それを受け、ユーロが売り込まれドル買い主導の展開に。
ドルは欧州通貨やオセアニア通貨だけでなく、新興国通貨などに対しても強含み、クロス円の売りを誘発。
本日のアジア市場では日本株や中国株が下落し、ドル・円は世界的な株安を警戒した円買いで、一時111円割れまで軟化した。
今晩の取引では、米国の2月雇用統計が焦点。
市場予想は非農業部門雇用者数が前月比+18.0万人(前回+30.4万人)、失業率は3.9%(前回4.0%)、平均賃金は前年比+3.3%(前回+3.2%)と予想される。
ただ、予想通りに失業率や平均賃金が改善しても、連邦準備制度理事会(FRB)当局者は米国経済の減速により「金利見通しの引き下げが必要」(ブレイナード理事)との慎重姿勢に変わりはなく、ドルの買い戻しは限定的となりそうだ。
一方、ファーウェイの米国内における法的対抗措置から米中貿易交渉への影響を懸念した円買いも想定したい。
(吉池 威)【今日の欧米市場の予定】・22:30 米・2月非農業部門雇用者数(予想:+18.0万人、1月:+30.4万人)・22:30 米・2月失業率(予想:3.9%、1月:4.0%)・22:30 米・2月平均時給(前年比予想:+3.3%、1月:+3.2%)・22:30 米・1月住宅着工件数(予想:119.5万戸、12月:107.8万戸)・22:30 米・1月住宅建設許可件数(予想:128.7万戸、12月:132.6万戸)・22:30 カナダ・2月失業率(予想:5.8%、1月:5.8%)