大手精密ばねメーカーのアドバネクス (T:5998)は、優れた技術力と開発力により、国内ばかりか世界市場でもトップシェアを獲得する多くの製品を輩出している。
2015年度から2019年度をカバーする中期経営計画“Breakthrough to 2020”では、「金属加工総合メーカーへの挑戦」をメインテーマとする。
自動車、OA機器に次ぐ第3の柱として、医療、インフラ・住宅設備機器向けを育成している。
同社は、世界のトップ企業を対象に、大手ばねメーカーと競合せず、中小メーカーと熾烈な価格競争をしない市場と地域でビジネスを行う“グローバルニッチ”企業というポジショニングによるブルーオーシャン戦略を取っている。
顧客の要望に応えられる製品開発力、一貫生産システム、加工工法の転換によるコストダウンと品質向上、顧客の要求する地域で生産・納入するグローバル供給により、持続的な成長を図る。
同社は規格品の拡販を進めている。
航空機、鉄道、自動車における軽量化の進展を背景に、CFRP、アルミ、プラスチック母材の締結部補強部品の需要が増加傾向にある。
また、性能面で他社を圧倒的するナット脱落防止スプリングは、鉄道分野への導入が開始された。
「エリア」「顧客」「領域」「加工技術、製品」の4つの軸を伸ばし、事業規模の拡大を図る。
2016年1月に、自動車部品専用の「スマートファクトリー」となる埼玉工場を新設し、操業を開始した。
また同月に、インドネシアで日系企業を顧客とする精密プレス及びインサートモールドのメーカーに資本参加し、その後、株式を追加取得し、子会社化した。
同4月からはメキシコの第2工場が稼働を開始し、9月には米国の自動車用プレス部品メーカーから事業を譲受している。
生産設備と顧客ベースを獲得しただけでなく、同子会社はメキシコ工場を人的支援する。
欧州では、4月にドイツの販売会社が営業を開始し、更に2017年中にチェコでの製造子会社の設立および操業開始を計画している
2017年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比11.6%減の8,772百万円、営業利益が同76.9%減の84百万円となった。
国内及びメキシコの新工場立上げに関わるコストが増加するため、期初予想から減収減益を見込んでいた。
しかし、8月になると、予想以上の円高進行とOA機器向け売上高の想定以上の落ち込みにより期初予想を下方修正した。
今期通期予想は、売上高17,700百万円(前期比7.2%減)、営業利益450百万円(同32.7%減)と上期の実績を踏まえ大幅な下方修正となった。
予想年間配当金は、前期比5円減の1株当たり30円を計画している。
業績の本格的な回復は、新工場における新製品の量産が開始される来期後半となる見込みだ。
■Check Point
・自動車市場では、“グローバルニッチ”のブルーオーシャン戦略
・幅広いユーザーを対象とした規格品ビジネスに注力
・業績の本格回復は、新製品の量産開始時期の来期後半に
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
2015年度から2019年度をカバーする中期経営計画“Breakthrough to 2020”では、「金属加工総合メーカーへの挑戦」をメインテーマとする。
自動車、OA機器に次ぐ第3の柱として、医療、インフラ・住宅設備機器向けを育成している。
同社は、世界のトップ企業を対象に、大手ばねメーカーと競合せず、中小メーカーと熾烈な価格競争をしない市場と地域でビジネスを行う“グローバルニッチ”企業というポジショニングによるブルーオーシャン戦略を取っている。
顧客の要望に応えられる製品開発力、一貫生産システム、加工工法の転換によるコストダウンと品質向上、顧客の要求する地域で生産・納入するグローバル供給により、持続的な成長を図る。
同社は規格品の拡販を進めている。
航空機、鉄道、自動車における軽量化の進展を背景に、CFRP、アルミ、プラスチック母材の締結部補強部品の需要が増加傾向にある。
また、性能面で他社を圧倒的するナット脱落防止スプリングは、鉄道分野への導入が開始された。
「エリア」「顧客」「領域」「加工技術、製品」の4つの軸を伸ばし、事業規模の拡大を図る。
2016年1月に、自動車部品専用の「スマートファクトリー」となる埼玉工場を新設し、操業を開始した。
また同月に、インドネシアで日系企業を顧客とする精密プレス及びインサートモールドのメーカーに資本参加し、その後、株式を追加取得し、子会社化した。
同4月からはメキシコの第2工場が稼働を開始し、9月には米国の自動車用プレス部品メーカーから事業を譲受している。
生産設備と顧客ベースを獲得しただけでなく、同子会社はメキシコ工場を人的支援する。
欧州では、4月にドイツの販売会社が営業を開始し、更に2017年中にチェコでの製造子会社の設立および操業開始を計画している
2017年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比11.6%減の8,772百万円、営業利益が同76.9%減の84百万円となった。
国内及びメキシコの新工場立上げに関わるコストが増加するため、期初予想から減収減益を見込んでいた。
しかし、8月になると、予想以上の円高進行とOA機器向け売上高の想定以上の落ち込みにより期初予想を下方修正した。
今期通期予想は、売上高17,700百万円(前期比7.2%減)、営業利益450百万円(同32.7%減)と上期の実績を踏まえ大幅な下方修正となった。
予想年間配当金は、前期比5円減の1株当たり30円を計画している。
業績の本格的な回復は、新工場における新製品の量産が開始される来期後半となる見込みだ。
■Check Point
・自動車市場では、“グローバルニッチ”のブルーオーシャン戦略
・幅広いユーザーを対象とした規格品ビジネスに注力
・業績の本格回復は、新製品の量産開始時期の来期後半に
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)