Howard Schneider
[ワシントン 11日 ロイター] - 米国ではコロナ禍以降、実体経済の動きと一般市民の景況感に明確なズレが生じていることが、シカゴ地区連銀の最新調査で判明した。
シカゴ地区連銀が消費者や企業のセンチメント指標を調べたところ、新型コロナウイルスのパンデミックが始まった2020年春にこうした現象が始まり、経済が正常化しても人々がそれを完全に認識できない状態が続いている。
同連銀の調査アシスタントとシニアエコノミストは、コロナ禍後の数年間は景気の状況に関係なく、人々の楽観度が平均的に低下してきたことを発見。2人は「歴史的に見ると、消費者および中小企業のセンチメントと経済環境には緊密な相関性があり、失業率や所得といった指標でさまざまな家計や企業の景況感調査の動きをほとんど説明できた」と述べた一方で、パンデミックに伴う景気後退後はそうした関係が崩れたと指摘した。
このような変化が、失業率が4%より低く賃金上昇率が物価上昇率を上回っていることが、なぜ人々の感覚にもっと深く浸透しないのかを理解する糸口になるという。
2人は変化が起きた理由を明示していないが、最も有力な要因として挙げたのは物価の絶対水準の高さと、失業率低下がノルム(通念)とみなされるようになった可能性だ。
パンデミックのショック自体が影響を及ぼしたとも考えられている。米連邦準備理事会(FRB)当局者はこれまで、コロナ禍の余波と人々が抱く経済物価見通し、とりわけ物価観を強く関連づけてきた。