[9日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。米中貿易摩擦とイタリアの政局混乱への不安から、鉱業と銀行株が売られた。
トランプ米大統領は中国と通商政策で合意できる段階ではないと述べた。世界最大の金属消費国である中国への懸念から、鉱業株が売られた。[nL4N2554AA]
イタリアでは連立政権の「同盟」のサルビーニ党首が、連立政権は崩壊していると述べ、早期の解散総選挙を求めた。これを受けFTSE350種銀行株指数は1.59%低下した。[nL4N25549E]
一方、広告大手WPPは7.2%上昇し、FTSE100種の下落を抑制した。第2・四半期の売上高が市場予想を上回ったことが好感された。
国内経済に左右されやすい中型株で構成するFTSE250種は0.24%下落。第2・四半期の英国内総生産(GDP)は前期比0.2%減と、2012年第4・四半期以来のマイナスとなった。[nL4N2552UD]
旅行代理店のオン・ザ・ビーチは14.2%下落した。通期業績が予想を下回るとの見通しが嫌気された。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。イタリアの政局混乱を受けイタリア株が大幅安となったほか、トランプ米大統領が中国と通商政策で合意する用意はできていないと述べたことで市場心理が悪化した。
イタリアの主要株価FTSE・MIB指数は2.48%低下、同国の銀行株指数 (FTIT8300)は4.49%低下した。連立政権の「同盟」のサルビーニ党首が、連立への支持を撤回し、解散総選挙を要求した。[nL4N2544WX]
ラボバンクでマクロ戦略部門を率いるエルウィン・デ・グルート氏は「イタリアが予算をいつ改善できるのかが分からなくなったため先行き不透明感が出てきた。イタリア政権はブリュッセルと予算で合意したばかりで、撤回されることは大いにあり得る」と指摘した。
中国へのエクスポージャーが高い銘柄が売られ、STOXX欧州600種テクノロジー株指数や資源株指数、自動車・部品株指数の低下が目立った。銀行株指数も低下した。
一方、英広告大手WPPは7.2%上昇した。第2・四半期の売り上げが改善したことが買い安心感に繋がった。
ヘルスケア指数は0.14%上昇。好決算が好感されたジェネリック医薬品メーカー、ヒクマ・ファーマシューティカルズや医療機器大手カールツァイスメディテックが買われた。ドイツの製薬・化学大手バイエルも2.6%上昇し、相場を押し上げた。
<ユーロ圏債券> イタリアのサルビーニ副首相(「同盟」党首)の政権崩壊発言を嫌気し、同国債への売りが加速した。利回りは週間で今年に入り最も大幅な伸びとなる見込みだ。
サルビーニ氏は8日、連立政権は崩壊しており「有権者に速やかに選択を仰ぐべき」と表明、早期の解散・総選挙を要求した。[nL4N2544WX]
イタリア10年債利回りは一時27ベーシスポイント(bp)上昇し1.814%と5週間ぶり高水準。上昇幅は2018年5月以降で最大を記録した。週間の伸びは24bpと昨年10月以降で最大となる勢い。2年債利回りも27bp上昇し0.283%。5年債利回りは15bp上昇し1.105%。
10年物の伊・独国債の利回り格差は237bpと5週間ぶりの水準に拡大。テクニカル的な天井とみられる240bpに迫った。
INGは今後も利回り格差が拡大すると予想。短期的には250bpを試す展開となり、2020年度予算案が提示されないまま年内に総選挙に突入することになれば300bpまで拡大する恐れがあるとした。
DZ銀の金利ストラテジスト、ダニエル・レンツ氏は「連立政権が分裂する時期を巡ってかなりの不透明感が漂う。10月総選挙となった場合、タイミングとしては非常に悪い。イタリア政府が20年度予算案を欧州委員会に提出しなければならないためだ」と述べた。
ドイツ10年債利回りはマイナス0.582%と、前日のマイナス0.523%から低下。英国債利回りは週間で4週連続の低下となる勢い。第2・四半期の英国内総生産(GDP)は、前期比0.2%減と、2012年第4・四半期以来6年半ぶりのマイナス成長となった。[nL4N2552UD] OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20190809T192809+0000