[ 30日 ロイター] - <為替> ユーロが対ドルで下落し1.10ドルを割り込み、2017年5月以来の安値を付けた。月末を迎えたことなどが売り要因になったとみられる。
スコシア・キャピタルの主任外為ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「月末に絡むとみられる売りが出て、ユーロは50ポイント強値下がりした。ユーロはこのところ軟調地合いが続いており、月初以降これまでにも1.10ドルを割り込んでいる」と語った。
こうした中、トランプ米大統領は、ユーロが対ドルで下落しているにもかかわらず、連邦準備理事会(FRB)は対応していないと批判。この発言直後にユーロ売りが始まったという。
ユーロ/ドル (EUR=)は0.7%安の1.0976ドル。
ユーロ圏のさえない指標を受け、欧州中央銀行(ECB)は9月の理事会で利下げを行い、同時に新たな量的緩和(QE)策を打ち出すという期待が高まっている。ECBの次期総裁に指名されたクリスティーヌ・ラガルド氏は、金融安定リスクが伴うものの、必要であればECBには利下げする余地があるという認識を示した。
前出のオズボーン氏は9月の理事会の見通しについて「少なくとも利下げはあると思うが、新たなQEは時期尚早かもしれない」とした。
オフショア人民元 は0.28%安の7.163元。月間では3.69%安と、1994年以来25年ぶりの大幅な値下がりとなる勢い。
主要6通貨に対するドル指数 (DXY)はこの日0.38%高の98.884。
<債券> 米中が貿易戦争の激化を防ぐ方向に動くとの期待から国債利回りがやや上昇した。ただ3連休を控え商いは薄かった。
米国が対中関税措置第4弾の一部を9月1日付で発動させるのを前に、米中は29日、通商交渉再開の可能性を示唆。中国商務省は9月の対面協議について話し合っていることを明らかにした。
この日は月末特有の需要が見られたことで、国債価格の低下(利回りの上昇)には歯止めがかかったが、来週9月2日は米債券市場が休場となるため商いは薄かった。
安全資産としての米国債が売られたものの、世界経済が減速する中、米中の通商関係の悪化に神経を尖らせる状況に変わりはなく、安全資産に対する需要は低減しないとみられている。キャンター・フィッツジェラルド(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、ジャスティン・レデラー氏は「安全資産の買い手は世界中に存在する」と述べた。
米債券市場では28日に2年債利回りが10年債を6.50ベーシスポイント(bp)上回り、長短利回りの逆転の度合いは2007年以降で最も大きくなった。同利回り格差はこの日の取引終盤ではマイナス0.30bpに縮小している。
安全資産に資金が流入する中、28日には米30年債 (US30YT=RR)利回りは1.905%と、過去最低水準を更新。この日は1.992%に回復した。
この日発表の米経済指標では、商務省発表の7月の個人消費支出(季節調整済み)が前月比0.6%増と、予想の0.5%を超えて伸びた。一方、ミシガン大学日発表の8月の消費者信頼感指数(確報値)は89.8と、2016年10月以来の低水準となったほか、1カ月の低下としては12年12月以来の大きさとなった。
<株式> 小幅続伸で終了。しかし、3連休を控え商いは薄く、新たな対中制裁関税の発動が間近に迫る中、神経質な展開となった。
S&P総合500 (SPX)は週間で6月以来の高い伸びを記録。しかし、米中貿易摩擦の激化や米長短金利の逆転を背景にリスク選好度が低下する中、月間では5月以来の大幅安となった。
週明け9月1日はレイバーデーの祝日で休場。また、トランプ大統領が発表した対中関税の一部が米東部時間9月1日午前0時01分(日本時間午前9時01分)に発動される。
パー・スターリング・キャピタル・マネジメントのディレクター、ロバート・フィップス氏は「関税発動を背景にかなりの不透明感が漂う中、市場では3連休に向けて守りの姿勢が強まった」と指摘。「現在、そして年内、すべてが貿易問題の動向に左右される可能性がある」と述べた。
朝方発表された米指標は強弱まちまち。7月の個人消費支出は前月比0.6%増と、市場予想を上回った。一方、米ミシガン大学が発表した8月の消費者信頼感指数・確報値は89.8と、速報値の92.1から下方修正され、2016年10月以来の低水準となった。単月の低下としても、12年12月以来の大きさとなった。
S&P一般消費財 (SPLRCD)の下げがきつかった。通期利益見通しの下方修正が嫌気された美容品小売アルタ・ビューティー (O:ULTA)が29.6%急落し、全体を圧迫した。
一方、四半期決算が好調だった食品大手キャンベル・スープ (N:CPB)は3.9%上昇した。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.38対1の比率で上回った。ナスダックは1.05対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は57億7000万株。直近20営業日の平均は71万3000万株。
<金先物> 対ユーロでのドル急伸を受けた割高感に押され、3日続落となった。中心限月12月物の清算値は前日比7.50ドル(0.5%)安の1オンス=1529.40ドル。ただ、月間では6.4%高となり、これで4カ月連続のプラスとなった。 米中貿易協議の進展期待を背景とした前日の売りは一服し、早朝にかけてはもみ合いが 続いた。米レーバーデー(9月2日)の3連休中に、トランプ米政権が中国からの輸入品ほぼ全てに課税対象を広げる「第4弾」の初回分の発動日を控えており、発動延期など事態の急展開に備えて持ち高調整を中心とした取引となっていた。
しかし、トランプ大統領が午前にツイッターで、「ユーロはドルに対して狂ったように下落している。彼らの輸出と製造業が有利になる。そして米連邦準備制度理事会(FRB)は何もしていない!」などと投稿。この後、外国為替市場ではドルが対ユーロで急伸、約2年3カ月ぶりに1ユーロ=1.1000ドルの節目を突破した。これをきっかけにドル建てで取引される金塊は割高感から大きく売り込まれ、10ドル近く下落した。金塊現物相場は午後1時半現在、6.905ドル安の1520.395ドル。
<米原油先物> 対ユーロでのドル高を背景に売られ、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値は前日比1.61ドル(2.8%)安の1バレル=55.10ドルだった。11月物は1.56ドル安の54.89ドルとなった。
外国為替市場では対ユーロでドル買いが進んだ。ドル建てで取引される原油などの商品に割高感が生じたことから、原油は売り進まれた。また、9月1日に米国が対中制裁関税第4弾を発動することを控え、米中貿易摩擦に対する警戒感も根強く、相場の下押し要因となった。
一方、市場は大西洋上で勢力を強めるハリケーン「ドリアン」の動向に注目。ドリアンは今週末にかけてフロリダ州の大西洋沿岸に上陸し、来週には石油生産施設が集積するメキシコ湾東部へ移動する可能性もあるが、相場の反応は今のところ限られている。
ドル/円 NY終値 106.29/106.32
始値 106.38
高値 106.42
安値 106.12
ユーロ/ドル NY終値 1.0989/1.0993
始値 1.104 (EUR=)
高値 1.1049
安値 1.0964
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 106*15.00 1.9633% (US30YT=RR)
前営業日終値 106*03.00 1.9790%
10年債(指標銘柄) 17時05分 101*05.00 1.4994% (US10YT=RR)
前営業日終値 101*00.00 1.5160%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*10.25 1.3914% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*07.25 1.4110%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*31.38 1.5100% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*30.13 1.5300%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 26403.28 +41.03 +0.16 (DJI)
前営業日終値 26362.25
ナスダック総合 7962.88 -10.51 -0.13 (IXIC)
前営業日終値 7973.39
S&P総合500種 2926.46 +1.88 +0.06 (SPX)
前営業日終値 2924.58
COMEX金 12月限 1529.4 ‐7.5
前営業日終値 1536.9
COMEX銀 12月限 1834.2 +1.9
前営業日終値 1832.3
北海ブレント 10月限 60.43 ‐0.65 (LCOc1)
前営業日終値 61.08
米WTI先物 10月限 55.10 ‐1.61 (CLc1)
前営業日終値 56.71
CRB商品指数 170.3556 ‐1.7215 (TRCCRB)
前営業日終値 172.0771 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20190830T215621+0000