[ジャカルタ 21日 ロイター] - インドネシア中央銀行は21日、政策金利の7日物リバースレポ金利を5.00%で据え置く一方で、銀行の預金準備率を引き下げると発表した。銀行システムの流動性を高め、成長を支援する。
政策金利の据え置きは予想通り。中銀は前回10月まで4会合連続で利下げしていた。
銀行の預金準備率は来年1月2日から50ベーシスポイント(bp)引き下げる。これにより、銀行システムに26兆ルピア(18億4000万ドル)が放出されるとペリー・ワルジヨ総裁は説明した。
中銀は今年の融資伸び率予想を10─12%から8%に引き下げた。総裁は会見で、企業側の借り入れ需要が弱く、融資は伸びていないと指摘した。
また、生産の減少を挙げて「企業は依然、景気の先行きを見極めようとしている。これが生産能力をどれだけ拡大するかに影響する」と述べた。
そのうえで 「インドネシア経済は今後回復し、景気見通しや企業の信頼感が改善するとみている」と述べ、引き続き政策を緩和的にして成長を支援する方針を示した。
中銀の発表後も通貨ルピアはほとんど変わらず、0729GMT(日本時間午後4時29分)時点で1ドル=1万4110ルピア。株式市場 (JKSE)は下げ幅を縮小した。
7月以降の一連の緩和で、政策金利は計100bp引き下げられた。
加えて、世界的に成長が鈍化するなかで成長モメンタムを維持するための「先制措置」(ワルジヨ総裁)の一環で融資関連規則も緩和した。
第3・四半期の成長率は前年比で5.02%。米中貿易戦争を背景とした輸出の低迷が消費や投資など直撃し約2年ぶりの低成長となった。
ワルジヨ総裁は、国内総生産(GDP)は季節的パターンで第4・四半期は回復すると予想。2019年のGDP予想は5.1%増で据え置いたと述べた。
年末時点のインフレ率予想は3.1%で中銀の目標レンジ内。経常赤字は対GDP比2.7%と、前年の3%から縮小を見込む。
UOBインドネシアのエコノミスト、Enrico Tanuwidjaja氏は、補助金廃止の公算からインフレが今後加速する可能性があると指摘するとともに、中銀が目指す経常赤字の抑制には、金融政策の緩和度を弱める必要があるとの見方を示した。
同氏は「政策金利は年末まで5.00%に据え置かれると予想する」と述べ、他の政策措置で成長を支援するとの見方を示した。
預金準備率の引き下げについて、キャピタル・エコノミクスは「成長押し上げに寄与する一方で、利下げほど通貨を下押ししない」と予想。ただ、総裁の成長に対する懸念を挙げて、利下げサイクルは当面継続するとみている。
中銀は昨年は、米国の金融引き締めを受けたルピア安による資本流出に歯止めをかけるため、政策金利を175bp引き上げている。 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191121T104359+0000