[25日 ロイター] - <為替> ドルが対円で1週間ぶり高値に上昇。米中通商協議を巡る前向きな報道で、リスク選好度が高まった。
中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は25日、米中通商交渉について「第1段階」の合意が非常に近いと報じた。中国は「第2段階」「第3段階」の合意に向けた協議継続にも引き続きコミットしているという。[nL4N2852H1]
ドルは対円で0.29%高の108.95円と、1週間ぶり水準に上昇した。
このほか、中国の国務院と共産党中央弁公庁は24日公表の意見書で、権利侵害に対する損害賠償の上限引き上げなどの措置を通じて知的財産権保護を強化する意向を明らかにしたこともリスク心理の改善を後押しした。[nL4N2850V9]
スコシアバンクの外為ストラテジストは「貿易を巡る対立が高まる間は、例えば円は引き続き押し目買いに支えられると予想する」と述べた。
主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は0.03%高の98.298.
英ポンドは、12月12日投開票の英総選挙の世論調査で与党・保守党がリードを維持する中で上昇。対ドルでは0.58%高となった。
<債券> 国債利回りはほぼ横ばい。今週予定される国債入札の皮切りとなった2年債入札は、外国中銀など間接入札者の落札比率が比較的高まるなど、底堅い結果に。
26日には410億ドルの5年債入札、27日には320億ドルの7年債入札が実施される。ジェフリーズ(ニューヨーク)の市場エコノミスト、トム・サイモンズ氏は「投資家は足元、短期金融市場や入札動向に最も関心がある」と指摘した。
短期金融市場では9月に金利が急上昇し、連邦準備理事会(FRB)は資金供給などの対応を迫られた。FRBの金融調節を担当するニューヨーク連銀はこの日、42日物の国債買入オペ(レポオペ)を実施し、250億ドル相当を供給した。応札額は490億ドルと供給額の2倍近くに達し、旺盛な資金需要の表れとなった。
米中通商協議を巡っては、中国共産党機関紙傘下の環球時報が25日、「第1段階」の合意は非常に近いと表明。中国は「第2段階」「第3段階」の合意に向けた協議継続にも引き続きコミットしていると強調した[nL4N2852H1]。これを受け市場では当初リスク選好が上向き、国債が売られたが、米国時間の取引では値を戻す展開となった。
<株式> 続伸し、主要3指数がいずれも終値での最高値を更新。米中通商協議を巡り「第1段階」合意が近いとの期待が高まったほか、複数の買収合意が市場心理を支えた。[nL4N2852H1]
幅広い銘柄に買いが入り、中でもハイテク株が好調でナスダックは1%超上昇した。
米中通商交渉で「第1段階」の合意が非常に近いとの報道を受け、通商問題に敏感な半導体銘柄が買われ、アプライド・マテリアルズ (O:AMAT)は4.18%、ラム・リサーチ (O:LRCX)は2.68%、それぞれ上昇。フィラデルフィア半導体指数 (SOX)は2.43%高となった。
この報道に先立ち、オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も23日、年末までに中国と「第1段階」の通商合意に達する可能性は依然としてあるとの認識を示し、合意が来年にずれ込むとの懸念が和らいだ。[nL4N2840Q7]
宝飾品大手ティファニー (N:TIF)は6.2%急伸。仏高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン) (PA:LVMH)による162億ドルでの買収に合意した。[nL4N2852BT]
ネット証券大手のTDアメリトレード・ホールディング (O:AMTD)も7.58%急伸。同業のチャールズ・シュワブ (N:SCHW)が260億ドルで買収すると発表した。チャールズ・シュワブは2.3%高。[nL4N2853DJ] イーベイ (O:EBAY)は2.08%高。傘下のチケット販売事業スタブハブを40億5000万ドルでチケット転売サイトのビアゴーゴーに売却すると発表した。[nL4N2853UH]
モルガン・スタンレーが投資判断を「イコールウエート」から「オーバーウエート」に引き上げたエヌビディア (O:NVDA)は4.89%上昇した。このほか、アップル (O:AAPL)も1.75%高。
半面、配車大手ウーバー・テクノロジーズ (N:UBER)は1.52%安。英ロンドン市内での営業免許を再びはく奪されたことを嫌気した。[nL4N2853FS]
<金先物> 米中貿易協議の進展期待を背景としたリスク選好の流れに押され、下落した。12月物の清算値は前週末比6.70ドル(0.46%)安の1オンス=1456.90ドルと、中心限月としては約2週間ぶりの低水準。
オブライエン米大統領補佐官は23日、米中両国が年内に貿易協議「第1段階」の最終合意に至る可能性は依然としてあるとの見解を表明。また、中国政府が24日、知的財産権の侵害に対する罰則を強化する方針を示したことで、米国側が望む構造問題の解決に向けた前進があったとの楽観ムードも広がった。
さらに、中国共産党機関紙傘下の環球時報は25日、同国政府に近い専門家の話として、「第1段階」の合意署名は「非常に近い」と報道。最終合意の障害になっている制裁関税の撤回についても合意したと伝えた。これらが安全資産とされる金塊を圧迫し、相場は25日朝にかけてジリ安で推移。午前中には、香港人権問題をめぐる米中の対立などを警戒して下げ幅を縮小する場面もあったものの、買い戻しの動きは限られた。
<米原油先物> 米中貿易協議の進展期待から小反発。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値は前週末比0.24ドル(0.42%)高の1バレル=58.01ドルとなった。2月物は0.25ドル高の57.91ドルとなった。
米中両政府の関係者から通商合意に楽観的な見通しが示されたことが投資家の安心感につながった。
また、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国が12月上旬の会合で現行の協調減産措置を2020年半ばまで延長するとの観測も相場の支えとなった。
ドル/円 NY終値 108.90/108.93
始値 108.86
高値 108.97
安値 108.82
ユーロ/ドル NY終値 1.1013/1.1015
始値 1.1014 (EUR=)
高値 1.1024
安値 1.1005
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 103*28.50 2.1971% (US30YT=RR)
前営業日終値 103*10.00 2.2230%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*31.50 1.7517% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*25.00 1.7740%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*15.75 1.6075% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*12.50 1.6290%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*25.25 1.6113% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*24.13 1.6300%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 28066.47 +190.85 +0.68 (DJI)
前営業日終値 27875.62
ナスダック総合 8632.49 +112.60 +1.32 (IXIC)
前営業日終値 8519.89
S&P総合500種 3133.64 +23.35 +0.75 (SPX)
前営業日終値 3110.29
COMEX金 12月限 1456.9 ‐6.7
前営業日終値 1463.6
COMEX銀 12月限 1688.6 ‐11.4
前営業日終値 1700.0
北海ブレント 1月限 63.65 +0.26 (LCOc1)
前営業日終値 63.39
米WTI先物 1月限 58.01 +0.24 (CLc1)
前営業日終値 57.77
CRB商品指数 180.5694 +0.1982 (TRCCRB)
前営業日終値 180.3712 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191125T222726+0000