[フランクフルト 28日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のアンドレア・エンリア監督委員長は28日、ユーロ圏の銀行2行が2019年末時点で普通株等Tier1比率(CET1)の基準を満たせず、是正措置を求められたと明らかにした。
ECBは資本要件と資本ガイダンスを設定しており、後者は拘束力がない。資本要件と資本ガイダンスは前年から据え置き、それぞれ平均2.1%、1.5%とした。
ECBは「(評価に参加した)109行中6行はCET1がピラー2ガイダンス(第2の柱ガイダンス)を下回った」とし「昨年第4・四半期に満足のいく措置を講じなかった銀行は、厳密な期限を設定した是正装置を求められた」と表明。エンリア委員長によると、上記6行のうち2行が2019年末時点でも依然として資本ガイダンスの基準を満たしていないという。
資本ガイダンスの基準を満たしていない銀行がECBの新たな規制を回避するにはCET1の引き上げが必要になる。昨年、資本ガイダンスを下回った銀行は1行だった。
エンリア監督委員長は、今回の結果に「概ね満足している」と表明。ただ、銀行のビジネスモデル、内部ガバナンス、オペレーショナルリスクに対する懸念を強調した。ラトビアやマルタなどを舞台とした最近の資金洗浄(マネーロンダリング)問題に言及したものとみられる。
またECBが資金洗浄に関する調査の対象となった銀行の取締役会の位置付けを見直すなどの措置を開始するとした。
ECBは今回初めて、各行の資本要件の詳細を掲載したリストを公表した。ただ、公表に同意しなかった金融機関や検査が完全に終了していない金融機関については公表を控えた。
リストに掲載されなかったのは、独フォルクスワーゲン (DE:VOWG)のリース部門や、英国の欧州連合(EU)離脱を控えて最近ロンドンから移転したばかりの一部の投資銀行のユーロ圏子会社など。
*内容を追加しました。