[29日 ロイター] - <為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、主要6通貨に対するドル指数が約2カ月ぶりの高値近辺で推移。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が連邦公開市場委員会(FOMC)決定後の会見で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済への影響に懸念を表明したことが材料になった。
ドル指数 (DXY)は0.08%高の98.096。一時昨年12月2日以来の高値を付けた。
FRBはこの日までのFOMCでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50─1.75%に据え置くことを全会一致で決定する一方、銀行の超過準備に適用する付利(IOER)を1.60%に5ベーシスポイント(bp)引き上げた。付利金利の引き上げは予想通りだった。[nL4N29Y3RM]
テンパスのトレーディング部門バイスプレジデント、ジョン・ドイル氏は、米中貿易摩擦やトランプ大統領の弾劾など、昨年続いた多くの不確実性が収束しつつある中で、FRBは金利据え置きを決めたと指摘。ただコロナウイルスは新たな阻害要因になり得ると述べた。
円は対ドル で0.05%高の109.08円。対ユーロ (EURJPY=)では0.21%高の120.04円。オフショア人民元 は対ドルで0.05%安の6.968元。豪ドル は0.19%安の0.675ドル。
<債券> 米金融・債券市場で、国債利回りは低下。中国で感染が拡大する新型コロナウイルスによる死者が大幅に増加したことなどを受けた。米連邦準備理事会(FRB)がこの日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きなどを決定したことを受け、利回りはこの日の最低水準を付けた。
中国国家衛生健康委員会は29日、新型ウイルスによる肺炎による国内の死者は28日時点で26人増え132人と発表。感染者も1500人近く増え、約6000人になった。
新型ウイルスが経済に与える影響が不透明なことから、リスク心理はこの数日で大きく振れている。
米10年債利回り (US10YT=RR)は5ベーシスポイント(bp)低下の1.59%。前日は一時、昨年10月10日以来の1.57%まで下げたが、株高を受けてその後上昇していた。
FOMCでは、銀行の超過準備に適用する付利(IOER)を1.60%に5ベーシスポイント(bp)引き上げることも決定。声明は、緩やかな経済成長が続いており、雇用市場も力強いと指摘。パウエルFRB議長も金融システムに潤沢な準備金を確保するため、引き続きバランスシートを拡大する考えを表明。準備金は1兆5000億ドルが最低水準とし、第2・四半期に目標水準を達成するとした。[nL4N29Y3RM][nT5N25X00B]
短期金融市場では昨年9月、銀行や企業が資金調達する際に支払う翌日物レポ金利が急上昇し、準備金の不足が要因とされた。これを受け、FRBは緊急的に資金供給を実施した。[nL3N2695C5]
TDセキュリティーズのシニア金利ストラテジスト、ゲンナディー・ゴールドバーグ氏は、「付利引き上げについては見方が分かれていた」と指摘した。翌日物レポ金利は1.58%から1.59%に上昇した。
3カ月物財務省短期証券と10年債利回り格差は前日、昨年10月以来初めて逆転したが、この日は3bpの水準で推移した。
<株式> 米国株式市場はS&P総合500種 (SPX)が小幅に下落して取引を終えた。決算を受けて買われたアップル (O:AAPL)、ボーイング (N:BA)、ゼネラル・エレクトリック(GE) (N:GE)などに支援され、一時上昇していたものの、連邦公開市場委員会(FOMC)決定後に勢いが失速した。
市場は当初、FOMCの声明にほとんど反応を示さなかったが、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長の会見を受け、徐々に値を消す展開となった。
FRBは28─29日に開いたFOMCで、予想通りフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50─1.75%に据え置くことを決定。バランスシートに関する新たなガイダンスは示さなかった。しかし、会見でパウエル議長は、見通しは引き続き不透明だと指摘し、中国を中心とした新型コロナウイルスの感染拡大に言及した。[nL4N29Y3RM]
アップルは2.09%上昇。同社の主要市場で生産拠点でもある中国でのウイルス感染拡大により事業への影響が懸念されているものの、28日夕に発表した第1・四半期(10─12月)決算は売上高と利益が市場予想を上回った。[nL4N29X3K7]
ボーイングは1.72%高。29日発表した2019年通期決算は、墜落事故を起こした旅客機737MAX型機の長引く運航停止が響き、22年ぶりに赤字に転落。ただ、737MAX関連費用が一部の予想ほど膨らまなかったことが安心感につながった。[nL4N29Y3MU]
GEは10.32%急伸。2020年のキャッシュフロー目標が予想を上回った。[nL4N29Y3HI]
<金先物> 新型肺炎の拡大懸念で上昇した後の利益確定の売りが一服し、小反発した。2月物の清算値は前日比0.60ドル(0.04%)安の1オンス=1570.40ドルとなった。
中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の死者は29日、中国国内で計133人に達した。感染者は6000人超。新型肺炎の拡大懸念は引き続き投資家心理の重しとなっており、「質への逃避」の金需要は根強い。ただ、市場では肺炎拡大が中国経済に及ぼす影響を見極めたいとの思惑が広がっている。また、この日午後に米連邦準備理事会(FRB)の金融政策発表やパウエルFRB議長の記者会見を控えて、動意 に乏しかった。
<米原油先物> 朝高後、在庫統計を受けた需給緩和懸念から売られ、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月3月物の清算値は前日比0.15ドル(0.28%)安の1バレル=53.33ドルだった。4月物は0.11ドル安の53.41ドルとなった。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計では、24日までの1週間の米国内原油在庫は前週比350万バレル増と、市場予想(ロイター通信拡大版調査)の50万バレル減に反して増加した。これを受けて、供給過剰懸念が広がり、原油が売られた。
朝方は、石油輸出国機構(OPEC)が中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大を背景に協調減産を少なくとも3カ月間延長する意向を示したとの報道などを背景に、原油相場はプラス圏で推移していた。
ドル/円 NY終値 108.99/109.02
始値 109.08
高値 109.25
安値 108.99
ユーロ/ドル NY終値 1.1009/1.1013
始値 1.0999 (EUR=)
高値 1.1020
安値 1.0993
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 107*19.00 2.0338% (US30YT=RR)
前営業日終値 106*05.50 2.0950%
10年債(指標銘柄) 17時05分 101*17.00 1.5805% (US10YT=RR)
前営業日終値 100*31.50 1.6410%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.50 1.4042% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*18.00 1.4660%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.63 1.4128% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*26.88 1.4570%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 28734.45 +11.60 +0.04 (DJI)
前営業日終値 28722.85
ナスダック総合 9275.16 +5.48 +0.06 (IXIC)
前営業日終値 9269.68
S&P総合500種 3273.40 -2.84 -0.09 (SPX)
前営業日終値 3276.24
COMEX金 2月限 1570.4 +0.6
前営業日終値 1569.8
COMEX銀 3月限 1748.7 +2.9
前営業日終値 1745.8
北海ブレント 3月限 59.81 +0.30 (LCOc1)
前営業日終値 59.51
米WTI先物 3月限 53.33 ‐0.15 (CLc1)
前営業日終値 53.48
CRB商品指数 172.9541 ‐0.8425 (TRCCRB)
前営業日終値 173.7966 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200129T221902+0000