[フランクフルト 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)の社債買い入れについて、地球環境に悪影響を及ぼす企業の社債を除外しても、なお1兆ユーロ(1兆1800億ドル)相当の買い入れ選択肢があると指摘する研究報告書が20日、公表された。
ラガルド総裁は先週、市場が気候変動リスクの反映に「失敗」しているとして、発行残高に応じて社債を購入することをECBに義務付けたルールを見直す考えを示した。[nL4N2H52NC]
報告書は、英シンクタンクのニュー・エコノミクス財団(NEF)が国際環境NGO(非政府組織)のグリーンピースの支援を受けて作成。ECBに対し、量的緩和(QE)スキームで社債を買い入れる際、発行企業の温室効果ガス排出量を考慮して選ぶよう要請している。
ロイターの質問に対し、NEFの広報は書面で回答し、化石燃料企業や炭素強度(CI)が相対的に高い企業を除外しても、ECBが買い入れ可能な社債は1兆0620億ユーロ相当あり、現行のECBの買い入れ適格社債の規模から30%弱減るだけだと説明した。
報告書は、環境債を除き温室効果ガス排出量の多いセクターの社債をECBが全面的に排除する可能性も示し、その場合は購入可能な社債がジャンク等級債を含め1兆0780億ユーロ相当あると推計した。
「今こそ欧州で最も強力な金融機関がQEプラグラムの脱炭素化を図るときだ。われわれのデータ分析は、それをどのようにできるかを示している」と記している。
ECBは、社債買い入れプログラムに基づき4年間で2360億ユーロ相当の社債を買い入れている。さらに新型コロナウイルス対応の緊急買い入れプログラムでは社債を含め524億ユーロを購入している。