[ニューヨーク 24日 ロイター] - 24日の市場では、米大統領選で勝利を確実にしたバイデン氏が財務長官に連邦準備理事会(FRB)のイエレン前議長を起用する方針との報道を受けてドルが下落、国債のイールドカーブがスティープ化した。経済対策パッケージの議会通過が容易になるとの観測が広がった。
イエレン氏は経験豊富なエコノミストかつ労働市場の専門家で、超党派の支持による承認が期待できる安全な選択とみられている。
同氏が指名されるとの報道が伝わると、リスク資産が上昇しドルや長期債といった安全資産は下落、イールドカーブはスティープ化して強気シグナルが広がった。
イエレン氏は新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた経済の再生に向けて政府支出を主張しており、議会に追加経済対策の承認を促すとみられている。
ジェフリーズ・グループのマネーマーケット・エコノミスト、トム・シモンズ氏は、「イエレン氏は赤字に関してハト派とみられていると思う。FRB議長時代にはしばしば、財務省はFRBとより協力し、財政支援で自らの役割を果たす必要があると述べていた。議会と協力する必要があるのは確かだが、制限要因とはならないだろう」と述べた。
上院は民主党がジョージア州選出議員2人を決める1月の決選投票で多数派に転じる可能性は低く、イエレン氏は新型コロナ関連の経済対策で共和党との厳しい交渉に直面する。富裕層に対する増税、インフラや教育に対する巨額投資、気候変動対策などバイデン氏が掲げる公約でも論戦は不可避となる。
ただ、FRB議長や大統領経済諮問委員会(CEA)委員長といった経験のおかげで、同氏の議会承認の可能性は高いとみられている。こうした超党派の支持が財政支出を容易にする可能性もある。
シモンズ氏は「彼女は独断的でないという見方に安心できる。鍵となるのは、FRB議長としてのパフォーマンスが議会での承認プロセスを容易にするかだ」と述べた。
ドルはここ数カ月、米金利が今後数年は歴史的低水準にとどまるとの見方で売り圧力が強まっている。新型コロナウイルスワクチンを巡るニュースもリスク通貨志向を盛り上げている。
ドル指数 (=USD)は今年約4%下落しており、年間で2017年以降で最悪のペース。
アクシコープのチーフ・グローバルストラテジスト、スティーブン・イネス氏は「市場はイエレン足すパウエルはハト派を喜ばせ、ドルにとっては悪材料と考えるようだ。ただ今は、長期間の低金利維持がニュージーランドを除くすべての中銀の持説になっている」と指摘した。
市場ではすでにFRBが長期間低金利を維持するとの見方が広がっており、イエレン・パウエルのコンビはドルや短期の利回りの支援材料とはならない。
24日の取引で米10年債利回り (US10YT=RR)は1.6ベーシスポイント(bp)上昇して0.875%となり、イールドカーブ
(Kate Duguid記者 Saqib Iqbal Ahmed記者)
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