By Noreen Burke
Investing.com --追加刺激策やワクチンへの期待が加速しており、引き続き今週のマーケットの焦点となるだろう。先週金曜日では米株価指数は市場最高値を更新し、今週もボラティリティが高い週となることが予想される。ユーロ圏では、通商交渉が再開し最終段階に入りつつある。また、欧州中央銀行(ECB)は10日の定時理事会で追加金融緩和を打ち出す可能性が高い。本記事では今週のマーケットを乗り切るために必要なポイント5選を紹介する。
米国の追加景気刺激策
米労働省は4日、11月の非農業部門雇用者数は前月比24万5000人増と発表した。前月の61万増から伸びが鈍化している。
雇用情勢が弱まっていることから、景気刺激策への期待が高まっている。
米国では12月26日に推計1200万人の失業保険が切れ、31日に教育ローンの凍結や家賃未払い者の強制退去などの猶予措置なども終了する予定である。
また現在の連邦予算は12月11日に期限が切れる。議会で予算案が可決されなければ、一部医療期間の運営などに影響が生じる恐れがあるだろう。
ワクチンへの期待
米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスのワクチンは、英国で2日に医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が承認した。今週から英国では摂取を開始する。
また欧州医療庁(EMA)は1日、数週間以内に見解を発表する可能性があるとしている。
米国では米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は会合を10日に開き、ワクチンを承認するかどうか判断する見込み。
日本でも来夏に東京五輪・パラリンピックの開催を控え、早期に承認する方針である。
マーケットのボラティリティの増加
米国の主要3指数は先週金曜日に史上最高値を記録した。先週金曜日は軟調な雇用統計の結果から、追加景気刺激策の期待が加速している。またワクチンへの承認や出荷が見込まれていることも、株価の上昇をサポートした。
しかし、米国の感染者は12月に入ってわずか5日間で100万人以上増え、再拡大が加速している。また西武カリフォルニア州当局は5日、医療崩壊を懸念し6日から社会・経済活動の規制を強化することを発表している。
規制強化による経済的打撃は今後も注視する必要があるだろう。
イギリスとEUの通商交渉
欧州連合(EU)とイギリスは6日、行き詰まっている通商交渉を再開した。
しかし、ジョージ・ユースティス環境相は、「まだ合意すべきことがある。先週末に大きく後退したのは事実だ」とした。
7日早朝のアジア外為市場でポンドは一時0.6%の下落となった。市場は通商交渉に対し悲観的な見方が強い。
7日に、ボリス・ジョンソン英首相と欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長による協議が予定されている。
EU離脱の移行期間は年末に迫り、「合意なき離脱」の危険性が再熱している。
ECBによる金融緩和策
ラガルドECB総裁は、12月の理事会で金融緩和策の見直しを行うことを表明済みである。
新型コロナ対策で導入した資産購入特別枠(FEPP)の期限を2021年6月から延長することや、、現在の総額1兆3500億ユーロから約5千億ユーロの上積みが予想されている。
また、ECBが銀行に超低金利で資金を貸し出す資金供給策(TLTRO)が見直しされる可能性が高い。
英国では早ければ今週からワクチン投与が始まる見込みであるが、その他ユーロ圏では摂取までにはまだ時間がかかることが予想される。
ラガルド総裁はワクチンの摂取が始まり経済が本格再開するために、ECBは「橋を架ける」ための金融政策や財政政策が重要になると語っている。