[東京 30日 ロイター] - 日銀は30日発表した2021年度の考査実施方針で、新型コロナウイルス感染症の拡大防止などの観点からウェブ会議やリモート手法を積極的に活用する考えを示した。考査の効率性と実効性を高めるため、金融庁との連携も強めていく。
20年度は考査の実施を見合わせ、「考査に準ずる調査」を実施してきたが、資金繰り支援業務に伴う取引先金融機関の繁忙度は一時に比べて落ち着きをみせており、21年度は考査を再開する。日程調整など金融機関の実情に最大限配慮するほか、リスクの所在や収益力・経営体力の状況等に応じて、調査にめりはりをつける。
金融庁と連携し、日銀考査と金融庁検査で計画の調整を行うほか、結果の情報共有や金融機関から提出を受けるデータの一元化などを図る。大手金融機関については、金融庁と連携しつつ年1回程度の頻度で、オフサイトモニタリングの一環として、共通シナリオに基づく一斉ストレステストや外貨流動性リスク管理、サイバーセキュリティーに関する水平レビューを行う。随時に金融庁と共同でヒアリング調査も行う。
日銀は地域金融強化のための特別当座預金制度を3年間の時限措置として導入した。考査では地域経済を支えるための取組みについて、地域金融機関との対話を深めていく。
地域金融機関については、経営陣が持続性の高い利益と経営体力を把握し維持・改善の施策を講じているか、与信管理強化や企業の経営改善支援による信用コスト抑制策を取っているか、店舗運営や人員配置の最適化に取り組んでいるか、といったことも点検する。