[フランクフルト 30日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁はECBの資産買い入れについて、環境への配慮を強めることは可能との認識を示した。
その一方で気候変動に焦点を当てた「グリーン量的緩和」の新しいベンチマークを設ける責任をECBは負うべきでないとも指摘した。
ECBは過去5年間で2800億ユーロを超える社債を買い入れた。だが債券市場では環境に負荷をかけている企業の社債が多く含まれているため、こうした企業が不当に恩恵を受けているとの批判が出ている。
このため「グリーン資産」の購入に重点を置いたり、汚染物質を排出する企業に不利になったりするような変更をECBは検討している。
クノット氏は英紙フィナンシャル・タイムズが主催したオンライン会議で「これは絶対に検討すべきことだ」と指摘した。
「われわれ自身が(買い入れの)配分を決定するのではなく、中銀以外によって開発された、より優れたベンチマークを利用して購入することが個人的には望ましい」と語った。
ECBは新たな方法論を生み出す触媒の役割を果たすことができるが、企業による一段の情報開示が必要で、格付け機関も気候変動リスクを評価に組み込む必要があると主張した。
ECBのラガルド総裁やシュナーベル専務理事らが市場に中立的な資産買い入れに疑問を呈していることについて、クノット氏は「これは不完全な価格設定を巡る問題で、一種の市場の失敗だ」との見方を示した。
「気候関連リスクの価格設定は、より多くのデータや情報が出てきて初めて可能になる。だからこそわれわれは情報開示基準の調和を促している」と語った。