[東京 31日 ロイター] - 経済産業省は、ロシア・ウクライナ情勢を踏まえ、供給対策が必要な物資として、石油・石炭・液化天然ガス(LNG)などのエネルギーや半導体製造プロセス用ガス、自動車用排ガス触媒のパラジウムなど7品目を特定した。資源国への働きかけや代替調達に向けた政策支援など、必要な対策についても取りまとめた。
同省は31日、「戦略物資・エネルギーサプライチェーン対策本部」を開き、対応が必要な品目の特定と対応策を報告した。経産省幹部は「必要があれば大胆な支援を行う」とし、政策的な支援を行う可能性にも言及している。
対策が必要な7品目は、石油、石炭(一般炭・原料炭)、LNG、半導体製造プロセス用ガス、パラジウム(触媒用途等)、合金鉄(ステンレス・鉄鋼製造用)。エネルギーや半導体に加え、日本の輸入に占めるロシア・ウクライナの割合と世界全体の輸出に両国が占める割合のいずれかが一定以上である品目を抽出し、分析を行った。
資源国への働きかけや有志国間の連携強化、石油やガスの上流権益獲得に向けたJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)などによる支援、省エネなどエネルギー需要への働きかけなどが主な対応策となる。
半導体製造に使われるネオン、クリプトン、キセノンなどの希ガスは、輸入のうち6%がロシア・ウクライナからだ。中国の製鉄所増設による希ガス供給増や2014年のクリミア併合の際の不足を踏まえて、一極集中を回避してきたという。
対応策として省資源化やリサイクルなどを進めるほか、官民連携で新規供給能力を確保。国内でも、素材メーカーの製造設備投資に向けた政策支援も検討する。
自動車用排ガス触媒や歯科用の銀歯、電子機器のメッキに使われるパラジウムは、日本の輸入の43%をロシアが占めている。当面は企業の在庫とロシア以外からの代替調達で対応するが、JOGMECの活用も含めて、供給源の多角化を検討していく。また、省パラジウム技術の開発支援も進める。
合金鉄は鉄鋼生産に不可欠な添加剤で、フェロクロムが50%、フェロシリコンは33%がロシアからの輸入。海外の事業者に増産を働きかけるほか、権益確保などを検討していく。