執筆:Yasin Ebrahim
Investing.com -- 米連邦準備制度理事会(FRB)は2日、予想を上回る0.75%の利上げを実施し、市場を驚かせた。持続する高いインフレによって単一の利上げ幅としては1994年以来最大となる利上げとなった。
連邦公開市場委員会(FOMC)は、政策金利を以前の1.50%から1.75%の範囲に0.75%引き上げた。これは、エコノミストが予想した0.5%の利上げよりもタカ派的なものだった。
決定までの数週間、FRBのパウエル議長は0.75%の利上げを「積極的に検討していない」と述べ、6月と7月の会合で0.5%の利上げが適切であるとのシグナルを発していた。
しかし、予想を上回るインフレ率の発表が続き、想定よりもインフレ環境が長引く可能性を示すいくつかの兆候があったため、FRBはインフレ抑制にこれ以上遅れを取らないために金融政策の引き締めペースを上げることを余儀なくされた。
FRBは現在、政策金利を2022年に3.4%まで引き上げる見込みで、これは3月の予想値であった1.9%を大幅に上回る水準だ。FOMCの会合日程は年内残り4回であり、0.75%の追加利上げの余地は十分にある。
予想を上回る急ピッチな利上げは、FRBを中立金利(景気を良くも悪くもしない金利)により早く近づける動きである。 FRBは以前、需要を低下させインフレを冷やすために、中立金利を上回る制限的なスタンスに「迅速に」移行することを熱望していることを示唆していた。
一方、インフレ率はFRBの目標である2%にすぐには落ち着かないとみられている。FRBの望ましいインフレ率であるコア個人消費支出価格指数は、2022年に4.3%に上昇し、事前予想の4.1%を上回ると予測されている。2023年のインフレ率は事前予想の2.6%から2.7%に低下すると予想し、2024年のインフレ予想は2.3%に据え置いた。
労働市場の需給を回復させることが、FRBの計画のカギを握っている。労働市場の逼迫は、失業者1人につき約2人の仕事があるような状況で、賃金スパイラルに拍車をかけ、FRBの手の届かないところまでインフレを押し上げる恐れがある。
市場関係者の一部では、FRB が一歩踏み出すには雇用の増加が落ち着く必要があると指摘している。
「FRBによる金融引き締め策が落ち着き、2022年中に雇用統計が悪化するまで安心はできない」とBank of Americaは先週語った。
FRBの積極的な引き締めにより、景気を減速させ、不況に陥ることを心配する見方も多い。
こうした懸念は債券市場で最も顕著で、イールド・カーブはフラット化を続けている。これは、債券トレーダーがFRBによる経済のソフト・ランディングの失敗、つまり景気後退を回避する能力に自信を失っているようにみえる兆候である。
9兆ドル近いバランス・シートを縮小するFRBの計画は、水曜日に最初の債券(米国債)が満期を迎え、始動した。
この量的引き締め計画では、まず300億ドルの米国債と175億ドルの政府機関MBSをバランス・シートから外し、3ヶ月後には縮小ペースをそれぞれ月600億ドル、350億ドルに段階的に引き上げる予定である。