[フランクフルト 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は20日、ユーロ圏のインフレ率はなお高すぎるとの認識を示しながらも、ECBの今後の金利を巡る全ての決定はデータに基づき行われると述べ、金融市場の混乱でECBのインフレ対策に支障をきたすことはないとの認識を示した。
同時に「金融安定を巡る緊張が需要に影響を及ぼす可能性がある」とし、金融政策や利上げのような働きをする可能性があると述べた。
ラガルド総裁は欧州議会の経済金融委員会で、堅調な労働市場と背景に賃金圧力が強まっていると指摘。インフレは長期にわたり高止まりすると予測されていると述べた。
同時に「不確実性が高まる中、ECBが政策金利を決定するにあたりデータに依存するアプローチの重要性が増している」と語り、ECBが先週の理事会で示した見解を改めて表明した。
また、主要政策金利がECBの金融政策スタンスを設定するための主要な手段であり続けるとの考えも示した。
このほか「ユーロ圏の銀行の資本と流動性は極めて満足できる水準にあり、自己資本比率と流動性カバレッジ比率は要件を大幅に上回っているとECBは確信している」と述べ、ユーロ圏の銀行部門は「レジリエント(強靭)」との認識を表明。
ただ、景気減速や金利上昇などに備えるべきと改めて強調し、「金融機関は起こり得る不利な環境を乗り切れるよう、現在のレジリエンス(強靭性)を慎重に維持すべき」とした。
同時に「ECBにはユーロ圏の金融システムに流動性支援を提供するための政策ツールを利用する用意がある」とし、「ECBの政策手段が十分でなかったとしても、流動性リスクの発生に対応するために必要な調整を行える」と語った。
ECBは16日の理事会で0.5%ポイントの大幅利上げを決定。金融市場の混乱で世界的な銀行危機への懸念が高まる中でもインフレ対応を優先させたが、声明で「不確実性が高まる中、インフレ見通しの評価で決定される理事会の政策金利決定において、データに依存するアプローチの重要性が増している」とし、今後の動きは入手されるデータ次第になるとの姿勢を示した。