[フランクフルト 31日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は、ユーロ圏の成長率が数カ月前の予測よりも低下していることで自動的に利上げが不要になるわけではないとの考えを示した。フランクフルトでの会合で講演した。
成長への逆風を認める一方で、ECBの次の措置については明確な見解を示さなかった。ただ、ECBの仕事がまだ終わっていないことを示唆した。
成長予想の低下を受けて、市場ではここ数カ月間で金利見通しが修正されたとし、これがECBのこれまでの取り組みを阻害し、追加措置が必要になる可能性があるとの見方を示した。
「実質リスク・フリー・レート(リスクがほとんどない金融商品の利回り)は幅広い期間で低下し、現在は2月の理事会で見られた水準に戻っている。投資家が成長率やインフレ率、金融政策に対する予想を修正したことが理由だ」と分析した。
こうした金利低下はインフレ率を適時に目標に戻すというECBの取り組みに逆風となり得ると述べた。
中銀が高金利をより長く維持すると約束することで追加利上げを見送ることができるとの主張は「経済学的に信用できない」として否定的な考えを示した。
「金融政策を今さらに引き締める必要性を、金利を特定の水準に長期間据え置くという約束で置き換えることはできない」とし「そうした約束は時間的不整合性の問題を引き起こす」と指摘した。
労働市場の「かつてないほどの逼迫」を指標が示しており、労働力不足は賃金の急上昇につながりインフレを促進すると警告した。
成長が弱くてもユーロ圏が深い、あるいは長期間のリセッション(景気後退)直面している兆候はないとの認識を示した。