[ワシントン 31日 ロイター] - 米商務省が31日発表した7月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比3.3%上昇し、伸びは前月の3.0%から加速した。
前月比では0.2%上昇と、伸びは前月から横ばいだった。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前年同月比4.2%上昇。伸びは前月の4.1%から加速した。
前月比では0.2%上昇。伸びは前月から横ばいだった。食品が0.2%、エネルギーが0.1%上昇した。
米連邦準備理事会(FRB)はインフレ指標としてPCEに注目。前年比での上昇率は昨年の比較ベースが低かったことも反映しているとみられている。前月比での伸びが収束していることで、FRBは9月19─20日の次回会合で金利を据え置くとの見方が強まっている。
EYパルテノンン(ニューヨーク)のチーフ・エコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「前月比0.2%前後のモメンタムは、インフレ率を2%の目標に戻すにあたり、FRB当局者がまさに求めているものだ」と述べた。
<消費は旺盛、貯蓄率低下>
米国の経済活動の3分の2超を占める個人消費支出は前月比0.8%増。モノとサービスに対する消費が共に伸びたことで伸びは予想の0.7%を上回り、6カ月ぶりの大きさとなった。6月は0.6%増と、当初発表の0.5%増から上方改定された。
インフレが鈍化する中、労働市場がなお引き締まっていることで賃金上昇が維持され、個人消費が下支えされている。FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフ・エコノミスト、クリストファー・ルプキー氏は「需要は旺盛で、インフレは鎮静化している。これほど好調な個人消費を受け、インフレ鈍化がいつまで続くかは分からない」としている。
BMOキャピタル・マーケッツ(トロント)のシニア・エコノミスト、ジェニファー・リー氏は「米国人は消費し続けている」と指摘。ただ「経済のソフトランディング(軟着陸)シナリオはまだ有効だが、貯蓄率の低下が続いているという警告サインは出ている」と述べた。
旺盛な消費が続く中、7月の貯蓄率は3.5%と、前月の4.3%から低下し、2022年11月以来の低水準となった。
インフレ調整後の実質個人消費は0.6%増。伸びは前月の0.4%から加速し、1月以来の大幅な伸びとなった。
モノに対する消費は0.7%増。医薬品、娯楽用品、食料品、衣料品など寿命が比較的短い商品に対する消費の増加が顕著だったが、自動車や家具などの耐用年数の長い商品への支出も増加した。
サービス消費は0.8%増。ポートフォリオ管理や投資助言サービスのほか、住宅、外食、ヘルスケアなどが増加した。
ただ、映画「オッペンハイマー」と「バービー」の公開や米人気歌手テイラー・スウィフトさんらの人気アーティストのコンサートなどで、夏の消費は押し上げられると予想されていたものの、娯楽関連のサービス消費の増加はわずかにとどまった。シティグループ(ニューヨーク)のエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「8月のサービス消費に上振れリスクがある可能性がある」としている。