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アングル:中国に迫る試練、金融危機か長期停滞か 社会不安の芽も

発行済 2023-09-04 19:00
更新済 2023-09-04 19:09
© Reuters.  9月4日、中国の習近平国家主席が10年前に打ち出した最初の経済大改革プランは最も大胆な内容で、2020年までにサービスと消費が主導する西側スタイルの自由市場経済への移行
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Joe Cash

[北京 4日 ロイター] - 中国の習近平国家主席が10年前に打ち出した最初の経済大改革プランは最も大胆な内容で、2020年までにサービスと消費が主導する西側スタイルの自由市場経済への移行を目指すという構想が描かれていた。

60項目に及ぶこのプランが意図したのは、開発途上の国に適した時代遅れの成長モデルに修正を加えることだった。ところが、改革案のほとんどは立ち消えとなり、旧態依然の政策に依存したままの中国経済が新たに生み出したのは、大規模な債務と過剰な生産能力だけとなっている。

こうした構造改革の失敗で、中国経済が次のどこに向かうのか、という疑問も浮かび上がる。

多くの専門家は、日本のような長期停滞に向かって緩やかに進んでいく確率が最も高いと予想しているが、より深刻かつ切迫した事態が起きる可能性もある。

ケンブリッジ大学で中国の発展を研究しているウィリアム・ハースト氏は「物事は常に、ゆっくりと悪化が続いた後、突然崩れ出す。短期的な金融危機ないしその他の経済危機が起きる相当大きなリスクがあり、それは中国政府にとって重大な社会的、経済的な代償をもたらす。最終的に何らかの代償を支払わなければならなくなる」と述べた。

2008─09年の世界金融危機の時期までに、中国はすでに発展に必要な投資需要を満たし、2010年代に入ると家計消費の拡大を犠牲にし、インフラと不動産向けの投資を倍増させた。

その結果、国内総生産(GDP)に占める消費需要の比率はずっと他のほとんどの国より低いままで、雇用創出は建設と製造業に集中した。また、不動産セクターがGDPの4分の1に達するとともに、地方政府の借金依存をもたらし、現在多くのケースで借り換えが難航している。

このようないびつな経済構造が抱える問題は、新型コロナウイルスのパンデミックや地政学的緊張、人口減などによって増幅され、ついにコロナ禍後の経済活動正常化にもかかわらず、なかなか景気が回復しない状況に陥ってしまった。

メルカトル中国研究所(MERICS)のチーフエコノミスト、マックス・ツェングライン氏は「幾つかの経済構造の転換を目にしつつある局面にある。だが、本来は既に転換されているべきだった。ようやく現実に向き合う時間が始まり、未踏の領域に踏み込んだ」と話す。

中国経済の活況が本当に幕を閉じれば、コモディティー輸出国は打撃を受け、世界中にディスインフレが輸出される公算が大きい。中国国内では、就職できない何百万人もの大卒者や、資産の多くを不動産が占める人々の生活を脅かし、社会が不安定化しかねない。

<危機か停滞か>

中国では短期的な問題解決策と言えば、永続的な債務を生み出すだけの投資とだいたい相場が決まっている。これを別にすると、今後考えられる道は3通りあるというのがエコノミストの見立てだ。

一つ目は債務償却や過剰生産能力抑制、不動産バブル解消に素早く取り組むことによる、痛みを伴う危機の到来である。

二つ目は、何十年もかけて低成長を甘受しながらさまざまな過剰を払しょくしていく展開だ。

そして最後は、構造改革を断行して消費主導型経済に転換し、目先の痛みを受け入れながらもより急速かつ強力な経済成長を取り戻す未来の到来である。

危機に関しては、不動産市場が制御不能な形で崩壊し、金融セクターがそれに巻き込まれれば現実化する恐れがある。国際通貨基金(IMF)の見積もりで9兆ドルに上る地方政府の債務も「爆弾」の一つ。

ロディウム・グループのパートナー、ローガン・ライト氏は、中国政府はこれらの債務のどの部分を救済するかの決断を強いられると指摘。その理由として債務規模があまりに大きく、市場が現在暗黙の了解事項とみなしている全てについての政府保証は提供できない点を挙げた。「政府への信頼が失われれば、危機が起きる」という。

ただ、多くの不動産開発会社や銀行が国家の統制下にあり、海外への資金流出を制限する厳しい資本規制を敷いている中国では、短期的な危機発生は確率の低いシナリオだとの声が大勢だ。

ナティクシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は、中国が債務再編に乗り出せば、他の大きな投資先が限られる以上、多くの買い手が見込まれると説明する。

エレロ氏は「私は成長がより停滞する(シナリオに)くみする。生産性のないプロジェクト向けの債務が膨らむほど、特に公共部門の投資リターンは低下し、中国はその足かせを逃れて成長できなくなる」とみている。

もっとも構造調整を長引かせて危機を回避すれば、若者の失業率が21%を超え、家計資産の70%を不動産が占める中国の社会的な安定が脅かされるリスクが出てくる。

<方向転換できない理由>

新しい成長モデルへ積極的に移行するという3番目の道も、習氏が掲げた60項目の改革案がどうなったかを見れば、現実味は乏しいという結論に至る。

© Reuters.  9月4日、中国の習近平国家主席が10年前に打ち出した最初の経済大改革プランは最も大胆な内容で、2020年までにサービスと消費が主導する西側スタイルの自由市場経済への移行を目指すという構想が描かれていた。北京で7月12日撮影(2023年 ロイター/Thomas Peter)

これらの改革案は、資本流出懸念から株価と人民元が急落し、当局の間に混乱を招きかねない改革は避けたいという空気が生まれた2015年以降、ほとんど言及されなくなっている。

それ以来、中国は金融市場の大幅な自由化を進める姿勢を後退させているし、国有企業の抑制や全国的な社会福祉制度の導入は実現していない。

ケンブリッジ大のハースト氏は「今こそ新しいモデルへ方向転換できる時で、(中国側にも)その意欲はあると思う。しかし同時に、短期的な政治、社会のリスク、とりわけ経済危機を呼び寄せることへの多大な恐れが存在する」と指摘した。

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