[シドニー 5日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は5日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを4.10%に据え置いた。据え置きは3カ月連続。
中銀は物価を管理できているとの見方を示唆しており、市場では引き締めサイクルが終了したとの観測が浮上している。
中銀は、このところの経済指標について、2025年終盤までにインフレ率が2─3%の目標レンジに戻るというシナリオと整合的だとした。さらなる引き締めが必要になる可能性があるとの見方も維持した。
市場では中銀が政策金利を据え置くとの予想が支配的だった。
豪ドルは1.2%安の1豪ドル=0.6384米ドルと約1週間ぶりの安値。中銀が3カ月連続で金利を据え置いたことで、引き締めサイクルが終わったとの観測が一段と強まった。ただ、利下げ開始は2024年終盤になると予想されている。
ロイター調査では過半数のエコノミストが依然として年内にあと1回の追加利上げがあると予想している。
今月18日に退任するロウ総裁は「インフレ率は低下しており、労働市場は引き続き堅調で、経済成長率は鈍化しているが、設備稼働率は高水準で推移している」と指摘。中国経済の不透明感にも言及した。
中銀は声明で「政策決定に当たっては世界経済の動向、個人消費の傾向、物価と労働市場の見通しにこれからも細心の注意を払っていく」とした。
総裁は「多くのサービス価格は急上昇している。家賃の伸びも高水準だ」とも述べた。
次期総裁に就任するブロック副総裁は先月、インフレ抑制のために金利を再び引き上げる必要があるかもしれないが、政策立案者はデータを注意深く見ており、当面は月ごとに判断することになると述べた。
IGの市場アナリスト、トニー・シカモア氏は「最近のデータは中銀の期待通りに推移している」と指摘。
ANZのエコノミストは、今日の決定や声明には、中銀が長期間金利を据え置くとの見方を変える要素はなかったと述べた。
中銀は昨年5月以降、計400ベーシスポイント(bp)利上げし、政策金利は11年ぶり高水準となっている。
豪連邦統計局が5日発表した第2・四半期の経常収支統計によると、外国人観光客・留学生の流入で輸出が急増。家計消費の低迷を相殺し、経済成長を押し上げる要因になったとみられる。