David Milliken William Schomberg
[ロンドン 6日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は6日、英中銀の利上げサイクルは終了に「かなり近づいている」と述べた。同時に、インフレ圧力が根強いため、金利はまだ上昇する可能性があるとの認識も示した。
ベイリー総裁は英議会の財務委員会で行った年次報告で「(利上げ)サイクルの頂点にかなり近づいたと考えている」と述べた。
その後の質疑応答で、英国のインフレは一段と顕著に低下するとの見方を示すと同時に、賃金上昇ペースがどの程度減速するかは分からないと指摘。「多くの指標は現在、われわれの期待通りの動きを示しており、インフレ低下が続くと示唆されている。ただ、総合インフレ率の低下に伴い、インフレ期待も低下し続けるかどうかが問題となる」と語った。
この日の財務委員会では、カンリフ中銀副総裁と金融政策委員会(MPC)のディングラ委員も発言。
カンリフ副総裁は、労働市場の冷え込みはまだかなり緩やかで、賃金上昇圧力は具現化しつつあると指摘。ただ、こうした中でも今後の金利決定は「極めてバランスが取れたものになる」とし、ベイリー総裁の発言を踏襲した。
ディングラ委員は、金利はすでに十分に高い水準にあり、これ以上の利上げを行えば経済が打撃を受ける恐れがあると改めて警告した。
ディングラ氏はこのところの金融政策委員会で金利据え置きに投票している。
英中銀はインフレに対応するため、これまで14会合連続で利上げを決定。21日の次回金融政策委員会でも利上げを決定し、政策金利を5.5%に引き上げると予想されている。
ベイリー総裁の発言を受け、英国の2年債と10年債の利回りがこの日の最低水準に低下した。ベイリー総裁は5月にも同委員会で政策金利はピークに近づいていると発言。ただ中銀はその後、6月と8月に利上げを実施している。