[北京 7日 ロイター] - 中国税関総署が7日発表した8月の貿易統計によると、輸出は前年比8.8%、輸入は7.3%それぞれ減少した。減少幅は前月から縮小し、市場予想より小幅にとどまったが、外需と国内の個人消費の低迷が企業収益の重しとなる状況が続いた。
輸出のマイナス幅は7月の14.5%から縮小し、市場予想の9.2%より小幅だった。輸入も減少ペースが前月の12.4%から鈍化し、予想(9.0%減)ほど落ち込まなかった。
8月の貿易黒字は683億6000万ドルと、前月の806億ドルから黒字幅が縮小し、市場予想の738億ドルも下回った。
HSBCのアジア担当チーフエコノミスト、フレデリック・ノイマン氏は「貿易指標はわずかながら改善しているが、深読みすべきではない。貿易は依然として縮小している」と指摘。「安定化の兆しは少し見えるが、まだ先は長い」と述べた。
国泰君安国際のチーフエコノミスト、周浩氏は「貿易統計は小幅に改善したが、逆風がなお存在することを示している」と指摘。中国の貿易活動が既に底を付けたかどうかは複数の要因に左右される見通しで、最も重要なのは内需だと述べた。
中国政府は景気刺激策を相次ぎ打ち出しているが、アナリストは、労働市場の回復ペースが鈍化し、家計所得の見通しが不透明なため、景気対策の効果がほとんど出ない可能性があると警告している。
税関総署のデータを基にロイターが算出したところ、8月の対米貿易黒字は330億6000万ドルと、7月の303億ドルから拡大した。1─8月の対米貿易黒字は2148億8000万ドル。
対中輸出に大きく依存する国は中国経済の減速に神経をとがらせている。
中国の輸入の先行指標とされる韓国の対中輸出は、8月は約20%減と前月の27.5%減からやや改善した。米国、東南アジア、オーストラリアも貿易額の減少幅が縮小した。
しかし日本との貿易は急激に落ち込み、日本向け輸出は前年同月比20%、輸入は17%それぞれ減少した。日本の政策当局者は深刻化する中国経済の低迷が日本の景気回復に打撃を与えかねないと懸念している。
華宝信託のエコノミスト、聶文氏は今後について、輸出が今年終盤に昨年の低い実績との比較によるベース効果で増加に転じる可能性が非常に高いと指摘した。
8月の原油輸入量は前年比14.7%増、前月比では2.3%減となり、大豆輸入量は低価格のブラジル産への強い需要が押し上げ、前年比17.9%の大幅増だった。