Steve Scherer David Ljunggren
[オタワ 7日 ロイター] - カナダ銀行(BOC、中央銀行)のマックレム総裁は7日、インフレ率を目標値まで引き下げるには金利が十分高くない可能性があると述べた。アルバータ州カルガリーの商工会議所で講演した。
同総裁は、インフレ率が目標を上回っている理由の一つとして、利上げの効果が発現するまでに時間がかかっていることが考え得ると指摘。もう一つの可能性として「金融政策が物価の安定を回復させるのに十分なほど制約的でないこと」を挙げた。
その上で「残念なことに、長引けば長引くほどインフレ率を下げるのは難しくなるだろう」とし、高インフレが続くことは借入コストの上昇よりも国民にとって悪影響があるとの認識を示した。
また、金融政策は効果を現しており、インフレ目標も「見えてきた」と述べた。「これ以上利上げする必要はないかもしれないし、利上げするかもしれない」とした。
講演後、記者団に対し「リセッション(景気後退)に陥っているとは思わない。低水準のプラス成長を見込んでいる」と語った。
フリーランド副首相兼財務相が金融政策について「カナダ国民にとって歓迎すべき救済策」と異例の発言をしたことは適切だったのかとの質問に対しては直接的な回答を避け、フリーランド氏は「カナダ銀行の独立性を完全に尊重していることを非常に明確にしている」とした。
金融市場では、次回10月下旬の理事会での利上げの可能性は14%とみられている。
カナダ銀は6日の理事会で、政策金利である翌日物金利の誘導目標を5.0%に据え置くことを決めた。経済は低迷期に入ったとの見解を示しつつも、今後もインフレ圧力が続いた場合には追加利上げの可能性もあると表明した。