[上海/シンガポール 15日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は15日、期日を迎える中期貸出制度(MLF)融資をロールオーバーした。金利は市場予想通り据え置いた。
人民銀行によると、1年物MLFを通じて金融機関に5910億元(812億ドル)を供給。金利は2.50%で変わらなかった。
声明文は決定について「銀行システムの流動性を合理的に潤沢」に保ち、四半期末の資金環境を安定させることを意図したと説明している。
4000億元相当のMLF融資が今月期限を迎えるため、差し引き1910億元の資金供給となる。
市場関係者は、人民元安で積極的な利下げができないため、人民銀行が流動性の供給拡大を通じて景気回復を支援しているのではないかと指摘している。
ロイターが今週調査した市場関係者33人全員がMLF金利の据え置きを予想していた。
人民銀行は前日、銀行預金準備率を0.25%引き下げると発表している。
みずほ銀行のアジア通貨担当ストラテジスト、ケン・チュン氏は「人民銀行は前日、預金準備率の引き下げを決定しており、MLF金利引き下げの可能性は事実上排除されていた」と指摘。
「ただ、MLFを通じた流動性の供給拡大は、緩和的な金融政策スタンスが預金準備率の引き下げに沿ったものであることを示唆している」と述べた。
同氏は、流動性の供給により、目先、大幅な利下げ観測が後退し、人民元への影響を和らげることができるとの見方も示した。
MUFG銀行(中国)の金融市場担当チーフアナリスト、マルコ・サン氏は「今回の人民銀行の措置の狙いは市場に流動性を補充することだ」とし「景気の回復を加速させるため、金融政策は年末にかけて一段と緩和的になるだろう」と予想。年内にMLF金利が20ベーシスポイント(bp)引き下げられるとの見方を示した。
人民銀行はまた、期間7日のリバースレポで1050億元を供給した。金利は1.90%で変わらずだった。
さらに期間14日のリバースレポで340億元を供給。金利は1.95%とし、前回の2.15%から引き下げた。先月の7日物に続く金利引き下げとなった。