Steve Scherer David Ljunggren
[オタワ 3日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のビンセント副総裁は3日、新型コロナウイルスのパンデミック以降に企業が増大したコストを消費者に転嫁する動きが強まっており、インフレを助長させかねないとの懸念を示した。
中銀は9月6日の会合で政策金利を5%に据え置くことを決め、カナダ経済は成長が弱まる局面に入ったと述べた。ただ物価圧力が根強い場合は、追加利上げに踏み切る可能性があるとも強調した。
今月25日の次回会合後には、最新の経済物価見通しが公表される。
こうした中でビンセント氏は、パンデミックで生じた値上げはより頻繁化し、上げ幅は通常より大きくなったと指摘。「国内外で見られるこの企業の価格設定行動は、われわれが目にしている予想外に強い物価上昇率と直接つながっている」と説明した。
さらにビンセント氏は、カナダ経済にとって最大のリスクは恐らくこうした価格設定行動の永続化になると警鐘を鳴らした。
中銀は物価上昇率について、次第に減速して2025年半ばまでに目標の2%に収まると想定している。しかしビンセント氏は、まだ困難な時期を抜け出していないのは明らかで、異例なほど大きな不確実性が中銀の見通しに影を落とし続けていると述べた。
カナダの8月の物価上昇率は前年比4.0%と、ガソリン価格の上昇を背景に7月の3.3%から加速。昨年3月からの計10回にわたる利上げでも、その効果がまだ十分に物価動向に伝わっていない可能性がうかがえる。
ビンセント氏によると、企業は今後もパンデミック前より大幅かつ頻繁な価格変更を実施する見込み。「最近の一部投入コストの減少が過去2年の値上げと同じ幅とスピードで価格に転嫁されるかどうかはまだ分からない」という。