<為替> ドル指数は一時上昇した後に失速した。朝方発表された9月の雇用統計で雇用者数は堅調に伸びたものの、賃金の伸びの鈍化が示されたことが背景。
ドル/円は0.54%高の149.31円。「介入ライン」と考えられている1ドル=150円に近い水準で推移している。
米労働省発表の9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比33万6000人増加。市場予想の17万人増を大幅に上回り、過去8カ月で最大の伸びとなった。一方、平均時給は前年比4.2%増と、8月の4.3%増から鈍化し、2021年6月以降で最小の伸びとなった。
雇用統計を受け、主要6通貨に対するドル指数は一時106.98に上昇。ただその後は失速し、終盤の取引では0.31%安の106.03。
コーペイ(トロント)のチーフ・マーケット・ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「今回の雇用統計を受け、連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じる時期の予想が2024年の遅めの時期にさらに後ずれした。ただ、年内に再利上げがあると市場を確信させるには至らなかった」としている。
ドル指数は週初からは0.1%下落。これまでは11週連続で上昇し、合計の上昇率は約6%に達していた。ドル指数の軟化についてマネックスUSAの外為トレーダー、ヘレン・ギブン氏は「幾分かの利食い売りが出た」との見方を示した。
FRBの政策の行方の見極めるため、市場は来週の米国のインフレ指標に注目。コーペイのシャモッタ氏は「来週発表される消費者物価指数(CPI)で米国債利回りが一段と上昇すれば、金利差に基づくドルへの資金流入に安全資産の買いが加わり、ドルの支援要因になる」としている。
英ポンド/ドルは0.43%高の1.22445ドル。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 指標となる10年債利回りが16年ぶり高水準を付けた。この日発表された9月の雇用統計で雇用者数がエコノミスト予想を大幅に上回ったことを受けた。
米労働省が6日発表した9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比33万6000人増加した。市場予想の17万人増を大幅に上回り、過去8カ月で最大の伸びとなった。
スパルタン・キャピタル・セキュリティーズ(ニューヨーク)のチーフマーケットエコノミスト、ピーター・カーディロ氏は「雇用者数増は予想をはるかに上回ったが、平均時給の伸びは鈍化している。これは米連邦準備理事会(FRB)が据え置きを続けるかどうかに疑問を投げかける」と述べた。
10年債利回りは4.887%、30年債利回りは5.053%に達し、いずれも2007年以来の高水準となった。
10年債利回りは週間で21ベーシスポイント(bp)上昇。7月以来の大幅上昇となった。30年債利回りは同23bp上昇した。これは12月以来の大幅上昇となった。
2年債利回りは一時5.151%まで上昇した。依然として、06年7月以来の高水準となった9月21日の5.202%を下回っている。
債券利回りはここ数週間で急上昇している。これは投資家が、高金利の長期化のほか、労働市場が堅調かつインフレ率が2%目標を上回った場合にはFRBが利上げを継続する可能性を見越しているためだ。
CMEグループのフェドウオッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、11月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性を29%、12月までの利上げの可能性を42%織り込んでいる。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス25bpまで縮小した。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 急反発。注目されていた9月米雇用統計の発表直後は下落したものの、午前終盤に切り返す展開となった。ハイテク株が上昇を主導し、S&P総合500種とナスダックス総合は1日としては8月下旬以来最大の上昇率を記録した。
S&P主要セクターでは情報技術の上げが目立ち、通信サービスがそれに続いた。
9月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比33万6000人増加した。幅広い業種で増加し、市場予想の17万人増を大幅に上回ったほか、過去8カ月で最大の伸びとなった。失業率は3.8%で、前月から横ばい。賃金は緩やかな伸びにとどまった。
ダコタ・ウェルスのシニアポートフォリオマネージャー、ロバート・パブリク氏は「景気は鈍化しているものの、低迷しているわけではない。米連邦準備理事会(FRB)は様子見姿勢を取っている」と述べた。
最近の米長期債利回り急上昇を踏まえ、市場参加者はFRBが利上げを終了するかどうかを見極めようと、来週発表される9月の米消費者物価指数(CPI)や米卸売物価指数に注目している。
第3・四半期の企業決算にも注目が集まる。来週はJPモルガン・チェースなど銀行大手の発表を控えている。
6日の取引では、石油大手エクソンモービルが1.7%安。シェール大手パイオニア・ナチュラル・リソーシズの買収に向け交渉を進展させているというニュースが嫌気された。パイオニアは10.4%高で取引を終えた。
週足では、S&Pは0.5%高で、5週ぶりの上昇となった。ナスダックも1.6%上昇。一方、ダウ工業株30種は0.3%安だった。
米取引所の合算出来高は105億8000万株。直近20営業日の平均は107億2000万株。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.96対1の比率で上回った。ナスダックでは1.73対1で値上がり銘柄が多かった。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 米賃金インフレの落ち着きを示唆する雇用統計の発表を好感した買いが入り、10営業日ぶりに反発した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比13.40ドル(0.73%)高の1オンス=1845.20ドル。週間では1.12%下落した。
米労働省が朝方発表した9月の雇用統計によると、景気動向を反映する非農業部門の就業者数は前月比33万6000人増加。伸びは市場予想の約2倍に当たる大きさとなったほか、過去2カ月分の就業者数も上方修正された。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 対ユーロでのドル安を背景に買い戻され、3日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月11月物(終値に相当)は前日比0.48ドル(0.58%)高の1バレル=82.79ドルとなった。週間では8.81%安。12月物は前日比0.47ドル高の81.28ドルだった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]