<為替> ドルが安定的に推移した。朝方発表された米卸売物価指数(PPI)は基調インフレの鈍化継続を示唆し、市場では現在の米利上げサイクル終了への期待が高まった。
午後に入り公表された9月19─20日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨への反応は限られた。議事要旨によると、参加者の大半が経済の先行きは依然として非常に不透明と判断していたことが分かった。金融市場の状況や潜在的な原油価格ショック、労働組合のストライキの影響など、先行きをめぐる不確実性の高まりが背景にある。
主要通貨に対するドル指数は一時2週間ぶりの安値となる105.550を付けた後、終盤はほぼ変わらず。
オアンダのシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏は、PPIでは「ホット」な内容も垣間見られたものの、「ディスインフレのプロセスは継続しているという楽観的な見方がある」と指摘。今週、「米連邦準備理事会(FRB)当局者のハト派的な発言が続いたことで、市場はFRBが利上げを終了する可能性があると確信した」と述べた。
ウォラーFRB理事は11日、市場金利の上昇がインフレ鎮静化につながる可能性があるため、FRBは金利の動向を見守る姿勢だと述べた。金融情勢の引き締まりが「われわれのために仕事の一部」を担う態勢が整っているとも指摘した。
投資家は金利動向を見極めようと、12日に発表される9月の米消費者物価指数(CPI)に注目する。イスラエル情勢も注視している。
英ポンド/ドルは3週間ぶりの高値となる1.2337ドルを付けた後、終盤は0.2%高の1.23105ドル。
ユーロ/ドルは一時9月25日以来の高値となる1.0634ドルまで上昇。その後は0.08%高の1.0614ドル。
欧州中央銀行(ECB)の調査によると、ユーロ圏の消費者はインフレ率があと3年間、ECBの目標である2%をやや上回ると予想している。
また、ECB理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は11日、「インフレ率を目標に戻すために重要な進歩を遂げたが、まだ前途は長く険しい」との認識を示した。
<債券> 国債利回りはまちまち。イスラエル情勢の緊迫化を受け、指標となる10年債利回りは約2週間ぶりの低水準を付ける一方、2年債利回りは小幅上昇した。
午後の取引で、10年債利回りは一時2週間ぶりの低水準となる4.544%まで低下。終盤は7.6ベーシスポイント(bp)低下だった。
2年債利回りは、1.1bp上昇の4.994%となった。9月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)が前年比2.2%上昇と、市場予想を上回ったことを受けた。前日には1カ月ぶり低水準まで低下していた。
投資家は次に、12日発表の米消費者物価指数(CPI)に注目している。しかし主な焦点は依然としてイスラエル情勢の緊迫化だ。
アナリストらは、中東情勢の緊迫化による潜在的な影響として原油価格の上昇を挙げる。これはインフレ率の上昇を意味し、FRBは高金利を長期に維持する可能性がある。
CMEのフェドウオッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場は、FRBが11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置く確率を70%と予想している。
この日FRBが発表した9月FOMC議事要旨に対する反応はほとんど見られなかった。
2年債と10年債の利回り格差は一時マイナス43.10bpに拡大。終盤はマイナス41.20bpだった。
<株式> 不安定な地合いの中、主要株価指数が上昇して取引を終えた。FRBが発表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で政策当局者の慎重な姿勢が示されたため、金利が安定的に推移するとの投資家の期待が高まった。
9月19─20日のFOMC議事要旨によると、参加者の大半が経済の先行きは依然として非常に不透明と判断していたことが分かった。適切な追加引き締めの度合いを慎重に判断する根拠になるとした。
エドワード・ジョーンズのシニア投資ストラテジスト、アンジェロ・コーカファス氏は「議事要旨は引き締め過ぎのリスクを強調している。過去3週間の金利動向を踏まえると、追加利上げはないだろうという一定の安心材料になった」と述べた。ただ、データ次第というFRBの姿勢に変わりはないため、次の決定では12日に発表される9月の消費者物価指数(CPI)が考慮されるだろうと指摘した。
米労働省が11日発表した9月の卸売物価指数(PPI)は市場予想を上回ったが、引き続き緩やかな伸びにとどまった。
S&Pの主要11セクターではエネルギーが1.4%下落。シェール大手パイオニア・ナチュラル・リソーシズを595億ドルで買収すると発表したエクソンモービルが3.6%安となったことが響いた。パイオニアは1.4%高。
金利に敏感なセクターは好調で、不動産は2%上昇。米長期債利回りの低下を受けて公益事業も1.6%高となった。米10年債利回りは中東情勢の緊迫化を背景に約2週間ぶりの低水準を付けた。
新規上場したドイツのサンダルメーカー、ビルケンシュトック・ホールディングは公開価格を12.6%下回って取引を終えた。
<金先物> 米長期金利の低下を眺めて4営業日続伸した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比12.00ドル(0.64%)高の1オンス=1887.30ドル。
<米原油先物> 中東情勢の悪化によるエネルギー供給混乱への懸念が幾分和らぎ、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月11月物の清算値(終値に相当)は前日比2.48ドル(2.88%)安の1バレル=83.49ドル。12月物は2.06ドル安の82.07ドルと なった。
イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの衝突が続く中、主要産油国であるサウジアラビアは10日、ガザと近隣地域の緊迫化した状況下が一段と 悪化することを防ぐため、周辺地域や国際的なパートナーと協力していると表明した。これを受けて市場では地政学リスクを意識したエネルギー供給不安観測が幾分後退し、相場は一時82ドル台に迫った。下値では押し目買いが優勢となる場面もあったものの、プラス圏に浮上することはなかった。
市場の関心は米エネルギー情報局(EIA)が12日午前に公表する6日までの1週間の米原油在庫統計に集まっている。
ドル/円 NY終値 149.15/149.17
始値 148.69
高値 149.34
安値 148.67
ユーロ/ドル NY終値 1.0617/1.0621
始値 1.0600
高値 1.0634
安値 1.0581
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 90*27.50 4.6973%
前営業日終値 88*30.00 4.8280%
10年債(指標銘柄) 17時05分 94*20.00 4.5582%
前営業日終値 93*28.50 4.6550%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*07.00 4.5749%
前営業日終値 100*00.75 4.6190%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*00.75 4.9863%
前営業日終値 100*00.88 4.9840%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 33804.87 +65.57 +0.19
前営業日終値 33739.30
ナスダック総合 13659.68 +96.83 +0.71
前営業日終値 13562.84
S&P総合500種 4376.95 +18.71 +0.43
前営業日終値 4358.24
COMEX金 12月限 1887.3 +12.0
前営業日終値 1875.3
COMEX銀 12月限 2213.3 +18.0
前営業日終値 2195.3
北海ブレント 12月限 85.82 ‐1.83
前営業日終値 87.65
米WTI先物 11月限 83.49 ‐2.48
前営業日終値 85.97
CRB商品指数 277.3815 ‐2.4887
前営業日終値 279.8702