[ブリュッセル 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)はウクライナに向こう4年間で500億ユーロ(530億ドル)を支援する案を大筋で支持したが、全会一致が必要となる12月の詳細合意を前にハンガリーとスロバキアが難色を示し、EU内に亀裂が生じていることが明らかになった。
EUはブリュッセルで開催された首脳会議2日目に「ウクライナとその国民に必要な限り、強力な財政・経済・人道・軍事・外交支援を提供し続ける」と明記する声明を採択した。EU欧州委員会は6月、2024─27年にウクライナに500億ユーロを支援することを提案している。
ドイツのショルツ首相は首脳会議後「ウクライナの財政安定のために必要なことが決定されると予想している」とし、「部分的に異なるアセスメントが決定に影響するとは考えていない」と述べた。
アイルランドのバラッカー首相は2日目の協議前「ウクライナに追加の資金が必要だという強い意見があり、その点はほぼ一致している」とした上で「ただ、資金をどこから捻出するかについては、効率性を除いてほとんど意見が一致していない。12月までに合意できると思う」と述べていた。
<ハンガリーとスロバキアが難色>
ハンガリーはこれまでもウクライナ支援に懐疑的な姿勢を表明。ロシアのプーチン大統領と会談したばかりのハンガリーのオルバン首相は、ウクライナに資金と軍事支援を提供するEUの戦略は失敗したとし、「ウクライナは戦場で勝てない」と述べた。
その上で、ウクライナに対する500億ユーロの新たな支援を含むEU予算の改定案を現在の形では支持しないと表明。ただ、交渉の余地はあるとの姿勢も示した。
スロバキアのフィツォ首相もオルバン氏に同調。ウクライナでは汚職が蔓延していると指摘し、EUの新たな支援に資金が不正利用されない保証を盛り込むよう求めたほか、ウクライナに対する軍事支援を停止すると表明した。