Patturaja Murugaboopathy
[1日 ロイター] - LSEGリッパーによると、2023年12月末の世界のパッシブ運用型株式ファンドの純資産が過去最高の15兆1000億ドルに達し、初めてアクティブ型を上回った。広範囲の市場指数を反映する低コストのファンドが一段と投資家を引きつけたため。アクティブ型純資産は14兆3000億ドルだった。
パッシブ型は、安定した大型株と関連付けられることが多い。そうした銘柄は企業の収益力や資産状況などを示すファンダメンタルズが堅調で、ボラティリティーは低い。08年の金融危機(リーマン・ショック)以降、先行きが不透明な時期に安全性を求める投資家の間で人気が高まったのが、こうしたパッシブ型だった。
ベーカー・ボイヤーのジョン・カニソン最高投資責任者(CIO)によると、米国の大手企業の複数銘柄が3―10年間にわたって世界市場のパフォーマンスを牽引し、時価総額加重型のパッシブ・インデックス・ファンドを大きく引き上げてきた。
「SPDR S&P500 ETFトラスト」は23年、差し引きで528億3000万ドルもの巨額の資金流入となり、同年のパッシブ型ファンド全体への資金流入の牽引役だった。これに僅差で「iシェアーズ・コア S&P500 ETF」と「フィデリティ500 インデックス・ファンド」が続き、それぞれ差し引き381億ドル、247億9000万ドルを集めた。
一方、アクティブ型ファンドは前年に続き資金が流出。管理手数料の上昇と期待を下回るリターンが状況の悪化に拍車をかけた。リッパーのデータによると、昨年はアクティブ型ファンドから計5760億ドル流出し、パッシブ型に計4660億ドルが流入したのと対照的だった。
アナリストらは、パッシブ型への巨額流入に伴って市場で不均衡が起きて、大型株は実際の潜在的な成長力に関係なく上昇する可能性があると指摘している。
ただ、24年はアクティブ型への資金流入が勢いを取り戻すとの見通しも聞かれる。UBSの富裕層向け資産運用部門のマーク・ヘフェレ氏CIOによると、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を引き下げる公算が大きく、その場合は大型株よりも小型株で借入コスト減少と収益拡大が期待され、アクティブ運用が市場平均を上回るリターンを確保できる余地が大きく広がるという。