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サイバリンクス Research Memo(5):2023年12月期第2四半期は前年同期比21.4%の営業減益だが想定内

発行済 2023-10-12 15:05
更新済 2023-10-12 15:16
*15:05JST サイバリンクス Research Memo(5):2023年12月期第2四半期は前年同期比21.4%の営業減益だが想定内 ■業績動向

1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
サイバーリンクス (TYO:3683)の2023年12月期第2四半期の連結業績は、売上高7,675百万円(前年同期比23.1%増)、営業利益572百万円(同21.4%減)、経常利益589百万円(同19.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益143百万円(同70.6%減)となった。
重視している定常収入は、3,766百万円(同10.7%増)と順調に拡大した。
またモバイルネットワーク事業に関わる減損損失(特別損失)206百万円を計上したことから、親会社株主に帰属する四半期純利益は大幅減益となった。


経常利益(前年同期比1.4億円減)の増減要因を分析すると、流通クラウド事業は0.8億円の増益となり全体をけん引した。
内訳は収入増(主に定常収入の拡大)による増益1.0億円、ソフトウェア償却費減少による増益0.3億円、販管費等の費用増による減益0.5億円であった。
官公庁クラウド事業は0.7億円の減益であったが、収入増による増益が0.5億円、償却負担増による減益が1.2億円であった。
トラスト事業では、引き続き開発投資等を継続したことから0.2億円の減益となり、モバイルネットワーク事業は、NTTドコモによるインセンティブ体系変更の影響等により1.5億円の減益となった。
また全社ベースでは、諸費用等の節減に努めたことなどから0.2億円の増益となった。


2. セグメント別概要
各セグメントの状況は以下のとおりである。


(1) 流通クラウド事業:定常収入は順調に増加
セグメント売上高は前年同期比6.2%増の2,216百万円、定常収入は同6.0%増の1,868百万円、セグメント利益(経常利益、以下同)は同22.5%増の452百万円となった。


小売向けEDIサービス「BXNOAH」等のサービス提供が拡大し、定常収入が増加した。
また「@rms基幹」に係るソフトウェア償却費が減少(0.3億円)したことも増益に寄与した。
トピックスとしては、「日食協※」が構築する「共通EDIプラットフォーム」のEDI基盤サービスベンダーの7社に採択された。
いわば同協会から「お墨付き」を得たことになり、今後の展開が期待できそうだ。


※一般社団法人日本加工食品卸協会


特に同社が重視するARR(Annual Recurring Revenue=各四半期末月の単月定常収入×12ヵ月)は、2023年6月で37.8億円となっており、2022年6月の36.0億円、2021年6月の32.8億円から着実に増加している。


(2) 官公庁クラウド事業:償却負担で減益だが計画を上回る
セグメント売上高は前期比35.9%増の3,719百万円、定常収入は同16.3%増の1,591百万円、セグメント利益は同17.0%減の372百万円となった。


ネットワーク工事案件が堅調に推移したことに加え、シナジーの連結開始で大幅増収となったが、損益面では、M&Aに係る償却負担(124百万円増)によりセグメント利益は減益となった。
ただしこの減益要因は期初から予想されていたことであり、「事業内容としては予想以上に堅調であった」と同社は述べている。
トピックスとしては、自治体向け電子認証サービス「マイナサイン」の本格展開(LoGoフォームと連携)を開始した。


(3) トラスト事業:開発投資は続く
セグメント売上高は前年同期比56.5%増の42百万円、定常収入は同67.0%増の30百万円、セグメント損失は139百万円(前年同期は116百万円の損失)となった。


デジタル証明書発行サービス「CloudCerts」が、2023年4月実施分より「TOEIC(R) Program」公開テストのデジタル公式認定証に採用され、5月より定常収入に貢献開始した。
またこのリリース効果等により他分野での引き合いも増加したことなどから増収となった。
その一方で、タイムスタンプサービスに係る設備投資(0.3億円)を計上したことや、引き続きその他の開発等を進めたことから、セグメント損失は前年同期比で拡大した。


(4) モバイルネットワーク事業:先行き不透明で減損処理
セグメント売上高は前年同期比22.8%増の1,697百万円、定常収入は同9.1%増の275百万円、セグメント利益は同91.0%減の14百万円となった。
半導体不足による端末不足は解消し、2022年末に買収した店舗の寄与などから増収となったが、NTTドコモからの支援費が減少した影響等によりセグメント利益は大幅減益となった。


依然としてNTTドコモの政策(店舗政策や支援費等)がはっきりしないことから、先行きに対しても不透明感が増している。
そのため、第1四半期において、2022年のM&Aに係るのれんの減損損失(197百万円)を計上した。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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