今日の欧米外為市場では、ドル・円は上値の重い展開を予想する。
米国の12月雇用統計が予想に沿った内容であれば連邦準備理事会(FRB)の利上げペース加速観測によるドル買いが入りやすい見通しだが、トランプ次期政権の政策が不透明であり、積極的な取引は手控えられる可能性もある。
今晩の注目材料は22時半発表の米雇用統計で、12月非農業部門雇用者数が前月比+17.5万人(11月は+17.8万人)、同失業率は4.7%(同4.6%)と予想されている。
失業率はやや悪化が見込まれるが、市場コンセンサスをメーンシナリオとすれば、FRBによる利上げペース加速観測を背景にドルの買い戻しになる可能性がある。
しかし、非農業部門雇用者数が前月比+16万人を下回った場合には、足元のドル高を調整する流れがいったん強まるとみられ、115円割れを試す展開になる可能性が高まる。
その際には、昨年12月14日の安値114円77銭が下値ターゲットとして意識されそうだ。
ただ、ある市場筋は「雇用統計の内容が低調でも、金利や株価、あるいは米次期政権の政策次第でドルの方向性は変わる」と指摘。
その上で、米国10年債利回りは昨年12月15日につけた2.6%台からは低下しているものの、「足元の2.3%台からさらに低下する展開にならなければ、ドルは115円台を維持できる」との見方を示す。
一方、トランプ次期大統領が5日に自身のツイッターでトヨタを批判したことを受けて、市場では、目先日本株が反落し、リスク回避の円買いが強まるとの懸念も浮上している。
いかに今晩の米雇用統計が注目されるとしても、「トランプ・リスク」への警戒から、積極的な売り買いは手控えられる可能性もある。
(吉池 威)
【今日の欧米市場の予定】
・19:00 ユーロ圏・11月小売売上高(前月比予想:-0.4%、10月:+1.1%)
・22:30 米・12月非農業部門雇用者数(予想:+17.5万人、11月:+17.8万人)
・22:30 米・12月失業率(予想:4.7%、11月:4.6%)
・22:30 米・11月貿易収支(予想:-454億ドル、10月:-426億ドル)
・22:30 カナダ・12月失業率(予想:6.9%、11月:6.8%)
・22:30 カナダ・11月貿易収支(予想:-16.0億加ドル、10月:-11.3億加ドル)
・24:00 米・11月製造業受注(前月比予想:-2.3%、10月:+2.7%)
・24:00 米・11月耐久財受注改定値(前月比予想:-4.6%、速報値:-4.6%)
・01:15 エバンス米シカゴ連銀総裁講演(経済と金融政策)
・03:00 ラッカー米リッチモンド連銀総裁講演(経済見通し)
・05:30 カプラン米ダラス連銀総裁講演(米国、世界の経済見通し)