[キャンベラ 9日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は9日、豪経済は緩やかな転換点に達した可能性があるとの見方を示した。ただ、米中貿易摩擦が世界経済の主要な不透明要因になっているとし、金利は長期間低水準にとどまるとの見通しを示した。
総裁は議会の委員会で半期に一度の証言を行い、「豪経済が緩やかな転換点に達した可能性を示す兆候がある」と指摘。金利低下や減税、豪ドル安、住宅市場の安定化、資源業界における投資見通しの改善、現在行われているインフラ投資投資などがこうした見通しの背景にあるとした。
総裁は、こうした状況を踏まえ、四半期の国内総生産(GDP)の伸びが緩やかに加速するとの見通しを示した。
一方で、失業率は今年上昇しており、賃金の伸びも依然抑制されている中で、インフレ率が中銀の中期目標である2─3%のレンジに上昇するのに予想以上に時間がかかっていることも認めた。
その上で、低金利が長期にわたり続くと予想することが妥当との認識をあらためて示した。また「世界の金利が低ければ、豪国内の金利も低くならざるを得ない」と述べ、世界の長期的な金利動向の影響を回避できないとの見方を示した。
ゼロ金利に関する委員会の質問には、可能性は低いがあり得ると答えた。
中銀は6月、7月に連続で利下げした後、今月6日の決定会合では政策金利を1%に据え置いた。[nL4N2521AX]
ロウ総裁は、必要と判断すれば行動するとも言明した。ただ、金融政策だけでは景気浮揚には不十分であり、政府は過去最低の金利での借り入れによってインフラ投資や生産性向上に取り組むことができるとの考えをあらためて示した。
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