先週の新興市場では、マザーズ指数が大きく下落した。
マザーズで物色の柱の1つとなっていたアンジェス (T:4563)が遺伝子治療薬の保険適用を巡る報道を受け急落。
同様にここまで大きく値上がりしていた中小型株に利益確定の売りが広がった。
マザーズ指数は8月6日に付けた直近安値(836.00pt、取引時間中)を下回る場面もあった。
30日は日経平均の上昇とともに反発したが、前日までの下落幅と比べると戻りは限定的だった。
なお、週間の騰落率は、日経平均が-0.0%であったのに対して、マザーズ指数は-4.4%、日経ジャスダック平均は-1.1%だった。
個別では、メルカリ (T:4385)が週間で3.7%安、ティーケーピー (T:3479)が同5.3%安とマザーズ時価総額上位は全般軟調。
バイオ関連株のそーせいグループ (T:4565)は同9.2%安、直近IPO銘柄のSansan (T:4443)は同11.8%安と下げが目立った。
前述のアンジェスは週間の売買代金、下落率でマザーズトップ。
遺伝子治療薬「コラテジェン」が保険適用を受けたが、事前に報じられた公定価格(薬価)が市場の期待より低いとして売られた。
ほかには前の週まで賑わっていたブシロード (T:7803)がやや売り優勢で、インパクトHD (T:6067)はアンジェスとともに下落率上位に顔を出した。
一方、バンク・オブ・イノベーション (T:4393)、イノベーション (T:3970)、手間いらず (T:2477)などに物色が向かった。
ジャスダック主力では日本マクドナルドHD (T:2702)が同0.7%安となったものの、ワークマン (T:7564)が同6.5%高、ハーモニック・ドライブ・システムズ (T:6324)が同4.1%高と堅調だった。
売買代金上位ではアテクト (T:4241)やジョルダン (T:3710)が売りに押され、ベクター (T:2656)などが週間のジャスダック下落率上位に顔を出した。
反面、直近の決算に対する評価が高いセプテーニ・HD (T:4293)やオリコン (T:4800)は堅調で、日本化薬 (T:4272)による株式公開買付け(TOB)が始まったポラテクノ (T:4239)が上昇率トップだった。
今週の新興市場では、マザーズ指数などは低位もみ合いとなりそうだ。
米中が対話に前向きな姿勢を示し、摩擦激化への懸念はやや和らいでいる。
しかし、9月に予定される閣僚級協議が開かれるか見極めたいというムードも依然強く、個人投資家のマインドが大きく改善するとは考えにくい。
先週、個人投資家に人気だった中小型株が相次ぎ急落し、需給が大きく悪化した点も気掛かりとなる。
ジャスダックの低位株が動意を見せていることも物色の手詰まり感を窺わせる。
リリースが観測された銘柄などは短期的な値幅こそ大きく出ているものの、資金の逃げ足が速い。
値動きの軽い小型株でも、手間いらずやオリコンのように業績の裏付けがある銘柄への関心を高めたい。
なお、今週は9月6日にアスカネット (T:2438)、ユークス (T:4334)、Link-U (T:4446)、日本スキー場開発 (T:6040)などが決算発表を予定している。
Link-Uは7月の上場後、初の決算発表となる。
IPO関連では、サイバー・バズ (T:7069)やギフティ (T:4449)、Chatwork (T:4448)といった9月上場案件が相次ぎブックビルディング(BB)期間に入る。
特に公開規模の大きい案件では需要状況を注視したい。
なお、先週はパワーソリューションズ (T:4450)(10月1日、マザーズ)、レオクラン {{|0:}}(10月2日、東証2部)の新規上場が発表されている。