以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家染谷エツ子氏(ブログ「えつこのFX日記~FXで家計にゆとりを~」)が執筆したコメントです。
フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
----※2019年12月30日13時に執筆◇2019年から繰り越された注目な動き(1) イギリスのEU離脱2019年12月12日に行われた英下院総選挙では、英下院の定数650議席に対して、与党・保守党が365議席を獲得しました。
保守党はサッチャー元首相の最盛期だった1980年代以来の大勝となりました。
その後12月20日に、英国のボリス・ジョンソン首相が10月に欧州連合(EU)との間で合意した離脱協定案を358対234の賛成多数で可決され、数年もの間続いたEU離脱を巡る政界の内紛が収まり、2020年1月31日のEU離脱に向けて大きく前進しました。
EU離脱の準備終了期限を2020年末とし、延長しないことを法制化する方向で調整されています。
EU離脱に伴い、2020年内に英中央銀行(BOE)が政策金利を引き下げるのではないかとの憶測が広まっています。
これは、EU離脱による経済的ダメージを和らげるため、またはEU以外の経済大国との貿易を活発化させるためにポンド高は不利になるためなどと言われています。
これらの事から、2020年はまず、1月31日にEU離脱を実行すると思われるので、その前後は相場が敏感に反応する可能性があるでしょう。
その後、政策金利の引き下げが行われれば、ポンド売りの動きがあると予想できます。
EU離脱の諸手続きの進み具合について良い報道が出ればポジティブの動きとなり、進み具合が悪い報道が出ればネガティブの動きとなる事が予想されます。
与党・保守党が過半数を獲得したこと、EU離脱法案を英国議会が可決したことにより、英国議会が正常に機能することから、英国政府は安定していると受け取られ、ポンドは正常に動くと予想できます。
ポンドがしっかり動く相場は活気がある動きをしますので、2020年はトレードしやすい相場となってくれるのではないでしょうか。
◇2019年から繰り越された注目な動き(2) 米中貿易協議これまでの米中対立の動きを振り返ります。
2018年7月頃から発動されてきた米国側による制裁関税は、2019年5月時点には約2,500億ドル相当の中国製品に対し25%まで引き上げられました。
2019年9月1日には、さらに制裁関税「第4弾」の前半部分として約1,120億ドル相当の中国製品に関税を15%課しました。
残り約1,600億ドル分に対する後半部分は2019年12月15日に発動される予定でしたが、こちらは延期されました。
中国としては、米国の対中制裁関税について段階的な撤回を希望していましたが、12月15日発動予定分のみの延期となったことで、米国産農産物の輸入に関して具体的に発表せず、「米国の関税引き下げに応じた行動を取る」とのみ回答しました。
2020年も米中貿易協議は引き続き行われますので、貿易協議の報道により、相場が動く事が予想出来ます。
米中貿易協議が難航すればネガティブとなり、中国の株価指数や元が売られ、中国の代替通貨である豪ドルも売られるでしょう。
これとは逆に、米中貿易協議が順調に進行すればポジティブとなり、中国の株価指数や元が買われ、豪ドルが買われるでしょう。
ポンドと一緒に豪ドルが動いてくれると、ますます相場が活気づいてくれそうですね。
◇2019年から繰り越された注目な動き(3) 北朝鮮問題2019年2月末にベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談では、北朝鮮非核化の合意文書への署名が見送りとなりました。
その後、11月に「北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)に使われるエンジン燃焼実験が行われた可能性がある」と報じられると、12月21日にエスパー米国防長官は、挑発的な姿勢を強める北朝鮮について、「もし必要なら戦い、かつ勝利の準備は整っている」と述べ、牽制しました。
北朝鮮外務省報道官が、同国政府を批判した米政府に対し、米国は「痛い目に遭うことになる」と警告するなど、対立姿勢を強めています。
2020年は米朝関係の報道が注目され、相場を大きく動かす要因となる可能性があります。
有事が起こった際には、有事のドル買い、有事の円買いなどの言葉がありますが、次に、有事のドル買い円買いについて説明させて頂きたいと思います。
◇有事のドル買い円買いについて基本的には中東などで有事が起こった場合に、米国が他国に攻撃を始めた時には、一時的にドル買いとなりますが、その後はドルが売られる傾向にあります。
2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロでは、米国が攻撃を受けたということで、ドルが売られ、120円台だったドル円が115円まで急落しました。
過去の有事の際には、米国が攻撃を仕掛けたのか、攻撃を受けたのかでドルの動きには違いがあったようですが、北朝鮮と米国で衝突があった場合には、地政学的に考えても、日本が非常に近い位置にあるため、簡単に円買いとなるかが疑問です。
過去の「有事のドル買い」、「有事の円買い」の通りに動かない場合もありますので、慎重に判断する必要があると思います。
◇終身雇用制神話崩壊の始まりと投資2019年は、経団連の中西会長が「終身雇用維持は企業にとってインセンティブがない」「これ以上の最低賃金の引き上げは企業がもたない」と発言しました。
トヨタ (T:7203)も終身雇用について維持が難しいという意見を表明し、富士通 (T:6702)は45歳以上の従業員2,850人あまりを対象に、早期退職や配置転換を実施しました。
NEC (T:6701)も同様のリストラ策に取り組む方針を発表しています。
日本の終身雇用制神話が崩壊を始めていることがうかがえます。
安定した固定収入が先行き不透明な状態に置かれた場合、やはりどうしても収入源をどうにかして増やしておきたいと、投資などを意識されるのではないでしょうか。
2020年以降は、「投資」という存在が、サラリーマンの方にも大変近い存在となっていくのではないかと思います。
これらの流れの中で、安定した収入に対する「不安な心理」に対して、「簡単に稼げる」などの甘い誘惑で、一生懸命貯めてきた大金を簡単に提供してしまう事が無いように、気を付けて頂きたいと思います。
私はFXトレードを10年以上続けていますが、トレードは決して簡単ではありません。
トレードをする際に必要な知識は、チャートのテクニカル、相場の知識、指標発表の知識、株価指数や長期金利の知識、今注目されている世界情勢などの知識です。
チャートが動き始めた時に、これらの知識を短時間で自ら分析する必要も出てきます。
決して、「簡単に稼げる」なんて言葉は言えるはずが無いのです。
投資を意識するのであれば、まずはその投資をするには何を学べばいいのか、その取り組みに1日何時間かけられるのか、自分には取り組み可能なのかをしっかりと見極める必要があると思います。
「簡単に稼げる」という言葉は、まず最大限に警戒して頂きたいと思います。
今回の内容が、皆様のお役に立つことが出来ましたら、私としましても大変有難い事です。
----執筆者名:染谷えつこ為替研究所株式会社 代表取締役 染谷エツ子ブログ名:えつこのFX日記~FXで家計にゆとりを~