[ニューヨーク 6日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが幅広い通貨に対して下落し、週間では4年ぶりの大幅な下げとなった。米債利回りの急低下が重しとなった。
主要6通貨に対するドル指数 (=USD)は約0.7%安の95.995。一時95.701と1年1カ月ぶりの安値を付けた。週間では2.2%安となり、下落率は2016年5月以来の大きさだった。
ウェスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「ドルは数週間前には3年ぶりの高値で推移していたが、米債利回りの歴史的な低下を受け急旋回した」と指摘。「経済の不確実性は新型コロナウイルスの感染拡大と同じ速さで広がっており、米連邦準備理事会(FRB)に対し、今週の緊急利下げに続いて今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げするよう圧力をかけている」と述べた。
6日の米金融市場では、FRBが4月末までに政策金利をゼロ近辺まで引き下げるとの見方が強まった。
新型ウイルスを巡る懸念を受け、米10年債利回りはこの日、過去最低を更新。マイナス金利の円やユーロで資金調達し、米資産を購入するというキャリー・トレードの追い風となっていた米金利の優位性が低下している。市場ではFRBが今月50ベーシスポイント(bp)の追加利下げを決定すると見込まれている。
ユーロ/ドル (EUR=)は約0.7%高の1.1311ドルと8カ月ぶりの高値。ドル/円は0.6%安の105.49円と半年超ぶりの安値を付けた。
通貨のボラティリティー指標は上昇。ユーロ/ドル1カ月物インプライド・ボラティリティーは18年11月以来の高水準に達した。
米労働省がこの日発表した2月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から27万3000人増と好調なペースを維持し、新型コロナウイルスウイルスの感染が拡大する前に米経済の大きな押し上げ要因となっていたことが分かったが、ドルの支援材料にはならなかった。
テンパスのディーリング・トレーディング部門バイスプレジデント、ジョン・ドイル氏は、雇用統計について「非常に素晴らしい内容だったが、全体的なリスクオフ環境下で好影響はかき消された」と述べた。
ポンドは対ドルで0.5%高の1.3021ドル。欧州連合(EU)のバルニエ首席交渉官は5日、EUから離脱した英国との将来関係を巡って双方に「相当深刻な相違」があると認める一方、妥結は依然として可能という認識を示した。