[ニューヨーク 1日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では不安定な取引の中、ドルが下落した。米経済指標が全般的に堅調だった上、欧州の経済指標も改善しつつあることから、安全通貨としての需要が後退した。ただ新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかかっていないことで、ドル相場の見通しは底堅いと予想されている。
第3・四半期初日の取引となったこの日は、豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドルなど、リスク選好度が高まった時に買われやすい通貨に対しドルが下落。ドルはユーロと英ポンドに対しても下落した。
ただアナリストは、新型ウイルス感染拡大に歯止めがかからず、ロックダウン(都市封鎖)などの措置が再導入される恐れが出ているため、ドルは再び上向くと予想。BKアセットマネジメント(ニューヨーク)のマネジング・ディレクター、ボリス・ショレスバーグ氏は「サービス産業が基幹産業となっている米国のような国では、レストランや映画館など、人との接触が多い産業が最大の雇用を創出している」と指摘。「一部の州で経済活動が再度停止されるリスクが極めて高くなっており、『リスクオフ』の動きも見られている。ドルはこうした動きの恩恵を受ける可能性がある」と述べた。
連邦準備理事会(FRB)がこの日に公表した6月9─10日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、新型ウイルス感染拡大に起因する景気後退(リセッション)からの回復に向け、FRBがあらゆる手段を行使することに広範な合意があったことが分かった。議事要旨公表を受け、ドルは円とユーロに対し下げ幅を拡大した。
このほか、企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが発表した6月の全米雇用報告は、民間部門雇用者数が236万9000人増加したものの、予想の300万人増には届かず、新型コロナウイルス禍からの回復には時間がかかることが示唆された。ドル相場はこれにはほとんど反応しなかったが、米供給管理協会(ISM)が発表した6月の製造業景気指数が52.6と、前月の43.1から上昇し、景気拡大・縮小の節目となる50を超えたことを受け、安全通貨としての需要が後退し、ドルはやや下落した。
終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数 (=USD)は0.3%安の97.15。ドルは対円
ドル/円 NY午後4時 107.47/107.48
始値 107.49
高値 107.60
安値 107.37
ユーロ/ドル NY午後4時 1.1249/1.1253
始値 1.1205
高値 1.1274
安値 1.1186