[ロンドン 4日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが下落した。8月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが鈍化し、新型コロナウイルス禍からの経済回復が鈍化しているとの懸念から、序盤は安全通貨であるドルが買われたが、午後に入りリスク資産が切り返すにつれ、ドル売りが強まった。
米労働省が4日に発表した8月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比137万1000人増となり、伸びは前月の173万4000人から鈍化したほか、予想の140万人も下回った。政府支援策の効果が薄れる中、新型コロナ感染拡大で引き起こされた景気後退(リセッション)からの回復が危ぶまれている。
雇用統計を受け、ドル指数 (=USD)は1週間ぶりの高値に浮上。ただ、米主要株価指数が午後に1カ月ぶりの安値から値を戻したことで下げに転じた。終盤は0.10%安の92.752。
投資家は長期的なドル安を視野に入れている。
TDセキュリティーズのシニア外為ストラテジスト、マゼン・イッサ氏は「リスク面で大きなサプライズがない限り、ドル高は薄れていく」と述べた。
ロイター為替予測調査によると、現在のドル安基調は来年にかけても続く見通し。米連邦準備理事会(FRB)が新たな政策の枠組みに移行し、米低金利局面の長期化が見込まれるようになったことが大きな要因という。
ユーロは週初に2018年以降で初めて1.20ドルを回復。ただ、欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事兼主任エコノミストが金融政策にとってユーロ/ドルの水準は「非常に重要」とし、ユーロ高がECBの想定よりも過度に速く強いことを示唆したため、その後軟化した。
イッサ氏は来週のECB理事会が注目とし、声明でユーロ高に言及されれば、外為市場に大きな影響を与える一方、質疑応答などで取り上げられる程度なら影響は乏しいとの見方を示した。
この日のユーロ (EUR=)は横ばいの1.184ドル。
ドル/円 NY終値 106.23/106.2
6
始値 106.17
高値 106.49
安値 106.16
ユーロ/ドル NY終値 1.1838/1.184
2
始値 1.1846
高値 1.1854
安値 1.1782
(表はリフィニティブデータに基づいています)