■要約
イー・ギャランティ (TYO:8771)は、企業の売上債権に対する信用リスク保証サービスを主力事業とし、信用リスクは金融機関等に再保証を委託することでヘッジしている。
「保証残高×保証料率」が売上高となるストック型のビジネスモデルとなる。
毎月3万社を超える企業情報の収集力と審査力により、最適な保証料率を設定できることが強み。
主に提携金融機関等を通じて新規顧客を獲得、リピート率も9割超と高く保証残高を積み上げることで成長を続けている。
1. 2022年3月期の業績実績
2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比9.7%増の7,894百万円、経常利益が同21.0%増の3,760百万円と20期連続の増収増益となった。
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が長引き景気の先行き不透明感が強まるなか、売上債権保証サービスに対するニーズが高まり、新規顧客の獲得とともに保証残高も前期末比20.7%増の5,822億円※に積み上がった。
企業倒産件数の減少で保証料率が低下したため売上高は会社計画をやや下回ったものの、売上原価率が想定以上に改善し、経常利益は期初計画(3,750百万円)をクリアした。
※実際の保証残高(保証対象先ごとに設定している保証枠(保証対象先が特定できない場合は、契約先ごとに設定している保証枠)の合計は前期末比30.5%増の8,315億円だが、対象先を複数社まとめて保証サービスを提供するケースが増えており、売上高に影響する保証債務額との乖離が広がってきている。
このため、本レポートでは保証債務額を保証残高として表記する。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比11.5%増の8,800百万円、経常利益が同11.7%増の4,200百万円と増収増益が続く見通し。
不透明な経済情勢が続くなか、旺盛な保証ニーズを背景に保証残高は前期末比12~13%の増加を見込んでいる。
前提となる売上原価率は上期に低下傾向が続くものの、下期は倒産件数の増加により上昇に転じると見ており、通期では前期並みの水準を想定している。
販管費率については、営業体制の強化により人件費の増加が見込まれるものの、その他経費の削減等により前期比横ばい水準を見込んでいる。
なお、2022年7月29日付で発表された第1四半期の業績は、売上高が前年同期比6.6%増の2,040百万円、経常利益が同17.9%増の1,019百万円、保証残高が同22.7%増の5,978億円と順調な滑り出しとなっている。
3. 重点施策と中期見通し
2023年3月期の重点施策として、「営業体制の強化」「周辺分野の事業展開」に取り組んでいく。
「営業体制の強化」については、人員を前期末から1.3倍に増員するほか、若手社員の早期戦力化に向けて販売手法の標準化と集中研修を実施している。
また、地方の旺盛な保証ニーズに対応するため、第1四半期に東北(仙台)と北陸(金沢)に支店を開設したほか、各地域の特性に合わせた地域限定商品の開発も今後進める予定だ。
「周辺分野の事業展開」では、日々収集している企業情報等のデータを活用し、迅速な与信審査が可能であるという強みを生かして、企業間取引における請求書発行・入金管理・代金回収等のアウトソーシングサービス「eG Collect」並びに債権買取サービス「eG Pay」を2021年11月より開始した。
主にEC事業者での導入が進んでいるようで、売上規模は年間数千万円程度とまだ小さいものの、今後倒産件数が増加してくれば債権買取ニーズは増加すると見られ、今後の成長が期待される。
同社は経営目標値として連結経常利益50億円を掲げており、順調に進めば2025年3月期にも達成する見通しだ。
国内で脅威となる競合企業がほとんど見当たらないことから、今後も持続的な収益成長が続くものと予想される。
4. 株主還元策
株主還元策としては、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を勘案しながら、業績に応じた配当を実施することを基本方針としている。
2023年3月期は前期比横ばいの26.0円(配当性向44.3%)を予定しているが、株式上場来の増配を続けていることから、業績が計画通り推移すれば増配を継続することも十分考えられる。
また、株主優待制度として、3月末時点の株主に対して一律でQUOカード(1,500円相当分)を贈呈している。
■Key Points
・企業が抱える売上債権等の未回収リスクを保証し、ビジネス拡大に貢献するサービスを提供
・2023年3月期も保証残高の積み上げにより増収増益が続く見通し
・信用リスク保証サービスに対する潜在ニーズは大きく、中長期的に成長が期待できる企業として注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
イー・ギャランティ (TYO:8771)は、企業の売上債権に対する信用リスク保証サービスを主力事業とし、信用リスクは金融機関等に再保証を委託することでヘッジしている。
「保証残高×保証料率」が売上高となるストック型のビジネスモデルとなる。
毎月3万社を超える企業情報の収集力と審査力により、最適な保証料率を設定できることが強み。
主に提携金融機関等を通じて新規顧客を獲得、リピート率も9割超と高く保証残高を積み上げることで成長を続けている。
1. 2022年3月期の業績実績
2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比9.7%増の7,894百万円、経常利益が同21.0%増の3,760百万円と20期連続の増収増益となった。
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が長引き景気の先行き不透明感が強まるなか、売上債権保証サービスに対するニーズが高まり、新規顧客の獲得とともに保証残高も前期末比20.7%増の5,822億円※に積み上がった。
企業倒産件数の減少で保証料率が低下したため売上高は会社計画をやや下回ったものの、売上原価率が想定以上に改善し、経常利益は期初計画(3,750百万円)をクリアした。
※実際の保証残高(保証対象先ごとに設定している保証枠(保証対象先が特定できない場合は、契約先ごとに設定している保証枠)の合計は前期末比30.5%増の8,315億円だが、対象先を複数社まとめて保証サービスを提供するケースが増えており、売上高に影響する保証債務額との乖離が広がってきている。
このため、本レポートでは保証債務額を保証残高として表記する。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比11.5%増の8,800百万円、経常利益が同11.7%増の4,200百万円と増収増益が続く見通し。
不透明な経済情勢が続くなか、旺盛な保証ニーズを背景に保証残高は前期末比12~13%の増加を見込んでいる。
前提となる売上原価率は上期に低下傾向が続くものの、下期は倒産件数の増加により上昇に転じると見ており、通期では前期並みの水準を想定している。
販管費率については、営業体制の強化により人件費の増加が見込まれるものの、その他経費の削減等により前期比横ばい水準を見込んでいる。
なお、2022年7月29日付で発表された第1四半期の業績は、売上高が前年同期比6.6%増の2,040百万円、経常利益が同17.9%増の1,019百万円、保証残高が同22.7%増の5,978億円と順調な滑り出しとなっている。
3. 重点施策と中期見通し
2023年3月期の重点施策として、「営業体制の強化」「周辺分野の事業展開」に取り組んでいく。
「営業体制の強化」については、人員を前期末から1.3倍に増員するほか、若手社員の早期戦力化に向けて販売手法の標準化と集中研修を実施している。
また、地方の旺盛な保証ニーズに対応するため、第1四半期に東北(仙台)と北陸(金沢)に支店を開設したほか、各地域の特性に合わせた地域限定商品の開発も今後進める予定だ。
「周辺分野の事業展開」では、日々収集している企業情報等のデータを活用し、迅速な与信審査が可能であるという強みを生かして、企業間取引における請求書発行・入金管理・代金回収等のアウトソーシングサービス「eG Collect」並びに債権買取サービス「eG Pay」を2021年11月より開始した。
主にEC事業者での導入が進んでいるようで、売上規模は年間数千万円程度とまだ小さいものの、今後倒産件数が増加してくれば債権買取ニーズは増加すると見られ、今後の成長が期待される。
同社は経営目標値として連結経常利益50億円を掲げており、順調に進めば2025年3月期にも達成する見通しだ。
国内で脅威となる競合企業がほとんど見当たらないことから、今後も持続的な収益成長が続くものと予想される。
4. 株主還元策
株主還元策としては、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を勘案しながら、業績に応じた配当を実施することを基本方針としている。
2023年3月期は前期比横ばいの26.0円(配当性向44.3%)を予定しているが、株式上場来の増配を続けていることから、業績が計画通り推移すれば増配を継続することも十分考えられる。
また、株主優待制度として、3月末時点の株主に対して一律でQUOカード(1,500円相当分)を贈呈している。
■Key Points
・企業が抱える売上債権等の未回収リスクを保証し、ビジネス拡大に貢献するサービスを提供
・2023年3月期も保証残高の積み上げにより増収増益が続く見通し
・信用リスク保証サービスに対する潜在ニーズは大きく、中長期的に成長が期待できる企業として注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)