サイバーマンデー特売。最大60%引きInvestingPro特別セールを請求する

ソーバル Research Memo(5):人材確保、販路拡大、特定顧客依存などの課題克服

発行済 2015-04-21 17:10
更新済 2015-04-21 17:33
ソーバル Research Memo(5):人材確保、販路拡大、特定顧客依存などの課題克服

■2015年2月期連結決算 (3)進む課題の克服 このような着実な成長戦略を展開するなかで、一層の飛躍を実現するための課題克服も進んだ以下は、これについて説明する (a)人材確保 ソーバルの得意とするファームウェアは、電機製品の性能競争が激しくなればなるほど、重要性が増すこのため、仕事はいくらでも確保できる環境にあるしたがって、仕事をこなすための人員さえ確保できれば、比例して事業が拡大できる さらに、利益率の高い大型案件を獲得するためにも、人員は必要である同社は、社員数が数十人程度の企業のM&Aも含めて、連結ベースでの社員数を1,000人(2015年3月末時点では約900人)以上にする方針を打ち出している1,000人以上が確保できれば、1件当たり数十億円以上の大型案件も恒常的に請け負う体制が整うためである しかし、人材の確保は容易ではないファームウェアの開発は他のソフトウェア開発と違う特殊性があり、通常のエンジニアよりも高いスキルが求められ、それだけのスキルを持つエンジニアの絶対数がそもそも少ない自社で育成するにしても、景気の回復に伴い、新卒の優秀な学生の確保が困難になってきているこのような背景から、人材確保は足元での最も大きな課題となっている 一方、同社はこの課題の克服を地道に進めているかつては人材紹介会社などを通じて採用をしていたこともあり、採用の費用だけでも多額の支出をしていたしかし、2014年2月期までに自ら採用活動ができる体制を整えることができたさらに、2015年2月期からは、新たにインターンシップ制度を開始したスマホアプリなどWebサイト開発を体験する1日コースと、組み込みソフトの開発を体験する3日コースの2つを設定Webサイトのコースは、2016年春に卒業予定の大学生を対象に文系理系を問わず、募集した組み込みソフトのコースは、2015年秋から2016年春に卒業予定で、C言語プログラミングの経験を持つ大学生を対象に実施した 新本社も新卒確保の重要な“アイテム”になっているJR山手線の大崎駅から徒歩10分程度の交通の便がよいインテリジェントビルで、これによって学生の同社への興味が増すことも期待している 「人を何よりも大切にする」という推津社長の経営姿勢も人材確保の大きなポイントといえるエンジニアのワークライフバランスを充実するため、残業時間を極力減らす運営を行っているまた、東洋経済新報社が調べた「有給休暇取得率」ランキングでは、サービス業では2013年から3年連続で2位を獲得している同じく社員に優しい「ホワイト企業」ランキングの最新版では、2011年卒業の新卒社員が3年間に1人も辞めなかった企業のひとつに挙げられている これらの克服策によって、学生の就職希望が増加したというその結果、2015年春の新入社員は72人を確保できた目標の80人には1割程度、足りなかったものの、前年に比べると、23人も増えた目標に届かなかった理由は、学生に高い能力を求め、採用のハードルを下げなかったことが原因という採用には決して妥協を許さない姿勢を堅持しながらの人材確保としては、ほぼ満足できる結果だったと言えよう 同社は2016年2月期から新卒を毎期100人ずつ恒常的に採用する計画を打ち出している恒常的に採用できれば、定年退職などでの減員分を除いた純増数は、毎年おおよそ10人程度になるというただ、目標をクリアできるかはまだ、見通せない学生の採用期間が後ろ倒しになったことも人材確保をさらに難しくする要因になりそうである同社は、対策として、会社説明会の回数を増やしたり、選考方法の見直しなど行うとしている とはいえ、仮に100人の新卒が確保できなかった場合でも、業績が悪化するわけではない本社移転による業務の効率化はまだまだ加速できる水準であり、15年4月入社の新卒社員の早期の戦力化も十分に見込めるしたがって、人材確保は同社にとって最大の課題ではあるものの、質を落としてまで人数を確保するつもりはまったくないとしている また、人員の確保という面では、パートナー不足も2014年2月期に引き続いて課題となっている同社は、事業バランスを考えて、売上高の5%をパートナー企業に外注するのを基本としているところが、景気回復によりパートナー企業のほうも忙しくなり、ソーバルからの発注に十分に応えられなくなってしまっている2015年2月期の売上に占める外注の割合は3%程度だったという ただ、これに関しても、幸い、MCTECが収益に貢献できるまでに構造改革ができたことで、幾分かは、パートナー不足を緩和できる可能性がある (b) M&Aなどによる販路拡大 同社は、エンジニアリング事業の拡大のために既存の事業領域とは違った新しい領域のビジネスへの進出を成長戦略の柱の1つにしている同社はこれをM&Aによって実現しようとしており、「新機軸のM&A」と位置付け、買収先を探している今までは、買収条件として(1)事業継承者がいない、(2)営業力が不足している、(3)従業員30~60人で年商3~20億円規模、(4)買収金額は100~300百万円程度−を基本とし、医療、自動車、航空宇宙分野を具体的なターゲットとしていたそして、2015年2月期は、前述のようにアンドールシステムサポートの買収が実現した 本来は、「1年に1件の割合での買収」という姿勢を示していたが、2012年のMCTEC以来のM&Aとなる景気の回復に伴い、買収に競合が生じ、買収価格が上昇、この結果、なかなか決まらなかったのだというそういう意味で、アンドール社は久々に条件にぴったり合った案件だったようであるただ、今後は、さらにM&Aの競合先が増えて行く可能性が高いそこで同社は、今後は600〜700百万円程度にまで引き上げて買収候補探しを進めるとしている また、買収先の事業分野に関しても、自動車分野への進出がかなったため、新たに介護・災害向けロボットと、金融サービス分野を対象に加える今後は、従来の医療、航空宇宙と併せて4分野でのM&Aを進めて行くなお、介護・災害向けロボット分野に関しては、介護施設の職員や災害救助および復興に携わる人々が装着して作業しやすくするタイプのもののソフトウェア開発を対象にしているという 同時に、新領域への事業拡大をM&Aだけに頼るのではなく、グループ内で新ビジネスを生み出すことによって実現しようという戦略も進めている2015年2月期には、医療分野への進出を果たしたX線デジタル撮影装置制御システム、眼底カメラ制御アプリ、新薬の治験データ統計解析などの開発を進めているまだ、規模は小さいものの、同分野でのM&Aも併せて今後の成長に期待がかかる さらに、今後は新領域への事業拡大と並行して事業の選択と集中も進めるRFIDの売却に見られるように、同社にとってより成長性の高い分野を強化する構造改革も進めて行く方針である (c)特定顧客依存からの脱却 売上高の約60%以上をキヤノングループに依存している点はリスクと言えようしかし、顧客層の拡大は着実に進んでいる同社が連結決算となった2012年2月期は売上高の70.7%をキヤノングループへ依存していた既に触れたとおり、2015年2月期は63.3%まで低下しているキヤノン依存からの脱却は着実に進んでいると考えてよかろう ただ、キヤノングループからの受注が急激に細る恐れも極めて低い例えば、デジタルカメラは、スマートフォンの普及で需要が減少していると言われているが、キヤノンの主力である一眼レフに関して言えば、写真のプロや愛好家向け、新興国富裕層などに根強い人気があり、消費者の要求に対応するためにより高度なファームウェアの開発が引き続き行われており、開発費も維持されているという したがって、今後もキヤノングループからの受注は横ばい傾向が続き、営業社員や子会社の努力によってキヤノングループ以外の顧客からの受注拡大が少しずつ進んでいくと見るのが妥当であろう (d)高齢化対策 同社の社員の平均年齢は35歳程度で、決して高齢化が進んでいるわけではないしかし、同社は、離職率が5%程度と、競合他社の半分程度の低さである離職率が低いのは、有給休暇の取得を推進し、残業も極力抑え、報酬体系も明確な内容になっているためであるまた、ファームウェアという電機製品の中核を担うビジネスをしているため、特にエンジニアにとっては非常にやりがいのある仕事であるという面も離職率の低さの一因となっているしかし、離職率の低さは、一方で、将来の高齢化につながる恐れもある 高齢化対策としては、社員の若返りを進めるしかないそのためにも、同社の最大の課題として挙げた新卒採用の確保は重要になるまた、高齢化した社員への対応としては、退職を促すのではなく、定年まで活躍できる社内体制の構築や、労働集約型のビジネスに頼らない収益の柱を確保することなどを模索している (執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2024 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます