[ワシントン 6日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は6日、景気後退と金融不安のリスクが高まっているとして、現在2.9%としている2023年の世界成長率見通しを、来週にも下方修正する方針を明らかにした。
同専務理事はジョージタウン大学での講演で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)やロシアによるウクライナ侵攻、世界各地で発生している大規模な天災により世界経済の見通しは悪化しており、さらに悪化する可能性があると指摘。世界経済はこれまで比較的予測可能だったが、不確実性やボラティリティーの高まりのほか、地政学的対立や破壊的な自然災害などで「より脆弱な世界へと根本的に変化している」と述べた。
その上で、欧州、中国、米国という世界最大の経済圏の全てが現在、減速しており、食料・エネルギー価格の高騰で大きな打撃を受けている新興国や発展途上国の輸出の需要減退につながっていると指摘。世界経済の約3分の1を占める国が今年か来年に少なくとも2四半期連続で景気後退(リセッション)に陥り、世界の産出量は26年までに4兆ドル縮小するとIMFは予想しているとし、これはドイツの経済規模にほぼ匹敵する「大規模な後退」に当たると述べた。
また、世界経済はウクライナに侵攻しているロシアを支持、もしくは反対、もしくは傍観姿勢を維持するするブロックに分断されていると指摘。不確実性は依然として高く、一段の経済的な衝撃が発生する恐れがあると警告した。
このほか、インフレ率は高止まりしているとし、経済が減速したとしても、各国中央銀行は断固として対応し続けなければならないとの考えを示した。
米金融政策についてCNBCのインタビューに対し、連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「極めて狭い」道を歩まざるを得なくなっていると指摘。IMFは米政策金利は今年と来年に「4%台」になると予測しているとした。
IMFは来週、世界経済見通しを発表する。23年成長率予測の下方修正は今年4回目となる。22年の成長率3.2%予想は維持する見通し。