(決算速報)
ティムコ<7501>(東証スタンダード)は1月19日の取引時間終了後に22年11月期業績を発表した。2桁増収で各利益は黒字転換した。フィッシング事業では屋外アクティビティとして注目された釣り需要が平常に復したが、アウトドア事業が行動制限の緩和で好調に推移し、返品率改善なども寄与した。当期純利益は繰延税金資産(法人税等調整額)計上も寄与した。そして23年11月期は大幅増益予想としている。価格改定効果(22年12月から実施)も期待され、積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は1月17日付の業績予想上方修正を好感して急伸し、一気に昨年来高値を更新した。さらに23年11月期大幅営業・経常増益予想も評価して上値を試す展開を期待したい。
■22年11月期黒字転換、23年11月期大幅営業・経常増益予想
22年11月期の業績(非連結、収益認識会計基準適用だが影響軽微、22年11月28日付で売上高を下方修正、利益を上方修正、23年1月17日付で売上高、利益とも上方修正)は、売上高が21年11月期比11.5%増の32億90百万円、営業利益が1億13百万円の黒字(21年11月期は26百万円の赤字)、経常利益が1億19百万円の黒字(同14百万円の赤字)、そして当期純利益が1億26百万円の黒字(同9百万円の赤字)だった。配当(22年11月28日付で期末6円60銭上方修正)は、21年11月期比6円60銭増配の12円(期末一括)とした。
2桁増収で各利益は黒字転換した。前回予想(22年11月28日付)に対して、売上高は43百万円、営業利益は25百万円、経常利益は26百万円、当期純利益は47百万円、それぞれ上回った。売上面では、フィッシング事業においては屋外アクティビティとして注目された釣り需要が平常に復したが、アウトドア事業がコロナ禍に伴う行動制限の緩和で好調に推移し、特に22年11月の販売が想定によりも上振れた。営業利益と経常利益については、アウトドア事業の販売が好調に推移して返品率が改善したことに伴い、期末に売上高から控除される返品額の見積もりが想定を下回ったことも寄与した。さらに当期純利益については、繰延税金資産(法人税等調整額)▲26百万円の計上も寄与した。
フィッシング事業は売上高が3.3%減の10億29百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が4.5%減の1億60百万円だった。屋外アクティビティとして注目された釣り需要が平常に復したため販売がやや低調だった。製品別に見ると、フライ用品は他の釣種に比べて需要が安定していたため販売が堅調だったが、ルアー用品は対象魚種の釣果低迷に伴う釣行の減少で販売が低調だった。
アウトドア事業は売上高が20.5%増の22億39百万円、利益が1億25百万円の黒字(同24百万円の赤字)だった。22年4月以降に行動制限が発出されなかったことを背景に登山やトレッキング等の外出機会が増加し、百貨店やショッピングセンター等の商業施設の集客も回復したため、アウトドア衣料の販売が好調に推移した。期前半の冬季は気温低下で防寒衣料の販売が伸長し、期後半の夏季以降は透湿防水素材(ゴアテックス)の軽量ジャケットや防虫素材(スコーロン)を使用した商品の販売が順調に推移した。
その他(不動産賃貸収入)は賃貸面積の縮小により、売上高が24.5%減の20百万円、利益が33.8%減の13百万円だった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が7億53百万円で営業利益が0百万円の赤字、第2四半期は売上高が9億36百万円で営業利益が68百万円の黒字、第3四半期は売上高が7億67百万円で営業利益が10百万円の黒字、第4四半期は売上高が8億34百万円で営業利益が35百万円の黒字だった。
23年11月期業績(非連結)予想は売上高が22年11月期比6.1%増の34億90百万円、営業利益が31.8%増の1億49百万円、経常利益が26.7%増の1億51百万円、当期純利益が2.1%増の1億28百万円としている。配当予想は22年11月期と同額の12円(期末一括)としている。
大幅増益予想としている。重点施策として、フィッシング事業ではキャンプ地など他のアウトドア・アクテビティとの融合により釣り人口の拡大を促すとともに、動画配信やソーシャル・ネットワーキング・サービスなどインターネットを活用した販売促進活動を強化して収益力向上を図る。アウトドア事業では、自社アウトドア衣料ブランド「フォックスファイヤー」の認知度向上と顧客数の増加を目指し、商品開発力の強化および顧客サービスの向上のほか、直営店舗の事業効率化や販売チャネルの見直しなどにより収益力向上を図る。さらに、フィッシング事業とアウトドア事業の相互の有機的連携を強化して、総合力の向上を推進する方針だ。
22年12月からフライ関連製品、ルアー関連製品、Foxfire関連製品(一部製品は23年2月から)の価格改定を実施しており、23年11月期は価格改定効果も期待される。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。
■株価は急伸して昨年来高値更新、さらに上値試す
株価は1月17日付の業績予想上方修正を好感して急伸し、一気に昨年来高値を更新した。さらに23年11月期大幅営業・経常増益予想も評価して上値を試す展開を期待したい。1月19日の終値は903円、今期予想PER(会社予想のEPS51円94銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の12円で算出)は約1.3%、前期実績PBR(前期実績のBPS1856円56銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約30億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)